約 774,146 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5840.html
涼宮ハルヒという正体不明の謎にまみれた不思議な存在に出会ってしまった俺はたいてのことでは驚かない。 たとえ、目の前に宇宙人、未来人、超能力者が現れようとも奴らとの接触にあっさり順応できる自信はある。 と言うか、現実に順応してしまっているわけだが。 妙な空間に放り込まれようが終わりが来ない夏休みに突入しようが人の目からレーザーや超振動砲が発射されようが朝、目が覚めたらいきなり世界が変わっていようが気がついたら雪山に遭難していようがもう俺はパニックになることはないだろうぜ。 あとはそうだな。 異世界人と出会ったとしても大丈夫なような気は漠然としてる。 いったいこいつにできないことは何なんだ?と思ってしまう長門が俺に相談を持ちかけて来たとしても応じてやれることだろう。と言うか是が非でも応じてやりたい気分だ。 また、ハルヒが妙にしおらしく内気な女の子になったところで何か悪巧しているか、タチの悪い冗談かのどちらかであることを見破れるであろうことは間違いなしだ。 まあ、とどのつまり、今の俺はちょっとやそっとのことで動じてしまうほど軟じゃないってことさ。 しかしだな。 じゃあその未知との遭遇が三ついっぺんに俺に降りかかってしまったら? さすがにそんなことに対する耐性は持ち合わせてなかったね―― 涼宮ハルヒの遭遇Ⅰ 「ええっと……長門さん、もう一度言ってくれますか……?」 もうすぐ初夏の香りがしてきそうなとある日の昼休み。 午前最後の授業の終業チャイムと同時にいきなり長門からの携帯メールで呼び出されて、後ろにいたハルヒには家から電話がかかってきたと嘘をついて文芸部室にやってきたわけだが、俺はまったく想像していなかった出来事から現実逃避したくなったのか、おどおどしながら俺にくっついているそいつから目を逸らして問いかける。 対する長門は淡々と、 「ここにいる涼宮ハルヒは異次元同位体。我々とはまた別の並行世界から迷い込んでしまった存在。よって、あなたの力を借りたい。なぜならあなたは何度か別世界からこの世界への帰還を果たしている。その時の経験をわたしは望んでいる」 面倒くさがることなく、まったく同じ説明をしてくれました。 と言う訳だ。 異世界人と遭遇しようが長門に相談を持ちかけられようがハルヒが急に内気になろうが一つ一つであれば対応できる自信はあっても三つ同時に起こってしまったんで頭の中が固まってしまったんだ。冒頭のように今一度自分のことを見つめ直してしまうほどな。 で、今、長門が言ったハルヒなんだが…… 最初は長門の腕に縋っていたってのに、俺がこの文芸部室の扉を開けて俺を見止めた途端、去年の五月、俺とハルヒが元の世界に戻ってきたときに再会した朝比奈さんよろしく泣きながら俺にしがみついてきたのである。 んで俺を未だに離そうともしない。 これはいったいどういう冗談なんだ? しかし長門が冗談を言うはずもなく、とすれば間違いなく今、俺にしがみついているのは、いつか来るだろうと思っていた異世界人の登場で並行異世界(パラレルワールド)の涼宮ハルヒってことになる。 何なんだこれは? もうちょっと何つうか…… 長門や朝比奈さんや古泉のように、ハルヒが引き摺りこんだ奴にいきなり呼び出されて正体を告白されて知ることになるってことくらいは予想していたのだが、ハルヒが連れてきたわけでもなく、誰よりも我関せず無関心を貫く長門から紹介されて遭遇するなんて一番想像できないことであるし、正直言ってハルヒと長門が結託して俺をからかっている、と考えるならまだあり得るかも、と思ってしまう展開だぞ。これは。 で、そのパラレルワールドという異世界から来た俺にしがみついて離そうともしないハルヒなんだが…… いやこれはもう俺が目を逸らしたくなったってのも仕方がないことなんだ。 なんたってこのハルヒ。 目鼻立ちやスタイルはまったくこっちのハルヒと同じでおまけに北高の制服のデザインも同じ。性格は正反対っぽいのだがもう一つ、外見上、決定的に違うところが一つある。 もうお分かりだよな? このハルヒの容姿に言及した俺が目を逸らしたくなった理由が分からないとは言わせないぜ。 もし本当に分からないならまず、『涼宮ハルヒの憂鬱』の原作かアニメを見てからこの先に進むことをお勧めする。 って、いったい俺は誰に何を言っているんだ? そう、このハルヒは非の打ちどころがない反則的なまでに無茶苦茶似合っているポニーテール姿なのである―― 仕方ないだろ? 外見的にはハルヒとまったく同じでそんな奴がしおらしく俺にしがみつき、加えてポニーテールなんだ。 もし彼女をまともに直視してしまったら俺がどうにかなってしまいそうだ。 なんせ、このハルヒも間違いなく涼宮ハルヒだ。この世界のじゃないってことを除けば本人なんだ。 俺はハルヒ以上にポニーテールが似合う女子を知らないし、知っている女子や有名なアイドル、女優の誰を脳内モンタージュでポニーテールにさせたところでハルヒ以上になることは決してない。 ポニーテールに目がない俺だ。それもハルヒで俺にしがみついているとなれば当然、その感触も匂いも直に感じることができるわけで、これで理性を保てという方が無理である。 以前、とある事情で現在の俺より一週間先から来た朝比奈さんに抱きつかれたときでさえ危うく自分を見失いかけたってのに、朝比奈さんのような性格のポニーテールハルヒが抱きついてきているとなればそりゃもう現実逃避でもしてなけりゃ人目を憚らず絶対に間違いを犯す。 「ところで長門、このハルヒとはどこで会ったんだ? 誰かに見られたりしなかったのか?」 と言う訳で俺は長門に問いかける。 まずは経緯を知っておこうという訳だ。話を逸らしたと思われても否定はせんぞ。 「この涼宮ハルヒが現れたのはこの文芸部室。わたしは涼宮ハルヒの存在が突然、ここで現れたので確かめに来た。むろん、あなたの所属するクラスからも涼宮ハルヒの存在を感知している。つまり、現在この時空には二人の涼宮ハルヒが存在していることになる。誰にも見られていないと思う。ただし――」 ん? 何だ? どうして言葉を切る必要がある? 「少なくとも僕は気づくことができました、ってことですよ」 なるほどな。 確かにお前は気づくかもしれんな、やれやれ…… 嘆息してややげんなりした視線を肩越しに向ければ、そこにはSOS団副団長、ハルヒの精神鑑定にかけては俺とタメを張るくらい精通している相変わらず無意味に爽やかな笑顔を浮かべる古泉一樹がそこにいた。 「それにしても何と言いましょうか――と言うか、僕はいったいどう言えばいいのでしょうか?」 それは俺が聞きたいことだ。 頭に手を乗せ、一応珍しく困った笑顔を浮かべてかぶりを振る古泉を正面に捉えて俺は思わずツッコミを入れた。 「いや失礼。しかし、この事態は僕も正直言って困惑しております」 さらに珍しく、爽やかなハンサムスマイルはそのままなのだが口調には明らかに苦悩が満ちていた。 今、俺はいつも古泉とボードゲームを勤しんでいるときのように机を挟んでこいつと向き合っている。 もちろん、俺の左腕にはポニーテールハルヒがしがみついているし、なんだかおどおどした表情で古泉を見ては俺に縋るような視線を向けてくるのである。 まあ何を言いたいかは分かるがな。 「心配いらんさ。こいつは俺の友人だ。別にキミに危害を加える真似なんてする訳がない」 「う、うん……」 俺の答えに、ハルヒがそれでもまだ不承不承に戸惑うように首肯する。 んで、それで納得したのかと思えば全然納得はしていないみたいで、さらに俺の腕により強く深くしがみついてくるのだ。 だから待てって。このままじゃ俺がどうにかなってしまいそうで、いやキミが嫌って訳じゃない。むしろこうしていてほしいのだが……って、そうじゃなくて! なんてツッコミを入れるわけにもいかんし、無碍に振り払うこともできんがな。 そりゃそうだろ。捨てられた子猫が雨の中で懇願しているような庇護欲を激しく揺さぶるつぶらな瞳でポニーテールハルヒは俺を見つめているんだ。これをないがしろにできる奴がいるとすればそいつは人間を辞めることを勧めるね。 「とりあえず、どうしてこの世界に出現したのか詳細を教えていただけないでしょうか? そこにあなたを元の世界に戻せるヒントが隠されているかもしれませんからね」 が、古泉はさして気分を害した風もなく、学校の先生が優しく生徒に質問するような穏やかな笑顔で問いかける。 「そ、それは……」 しばし躊躇うような沈黙が訪れて、 それでもポニーテールハルヒは俯いたまま、語り始めようとする。 しかし、その瞬間、古泉が現われてから今の今まで黙りこんでいた長門が動き出す。 と、同時に古泉の表情も変化した。 先ほどの穏やかな笑みが、今は緊張感を漲らせた鋭い視線でドアの方を睨みつけている。 「隠れて」 呟くと同時に長門は俺とポニーテールハルヒの手を取り即座に、部室にある掃除用具入れたるスチールロッカーの中へと、俺たちを押し込める。 ちょっと待て。何が起こったんだ? 見ろよ。ポニーテールハルヒだって情緒不安定を如実に表した困惑の表情を浮かべているじゃないか。 と言うか、長門と古泉がここまでの緊張感を持たなければならない相手とは何なんだ? 新手の急進派か? それとも古泉の機関と対立する刺客か? 「ここはわたしたちでやり過ごす。あなたと涼宮ハルヒは物音を立てず、じっとしていればいい」 む……この無為無表情のはずの長門の瞳が警戒心に染まっていることを俺は見逃さない。 そうだな。長門がここまで言うのであれば従うしあるまい。 俺が真剣な表情でうなずくと、長門は静かにスチール製の扉を閉める。 そして―― 「キョンいるー? って、あれ? 有希と古泉くん? どうしたの二人してこんなところで」 勢いよく扉が開けられると同時に、入ってきたのは急進派でも刺客でもなかった。 つか、こいつが来るならまだ急進派とか刺客の方がマシだと思ったのは俺の気のせいだろうか。 そう―― あろうことか、文芸部室に現れた声の主は、是が非でもここにいる異世界人の存在を知られてはいけない我らがSOS団団長、こっちの世界のセミロングヘア涼宮ハルヒだったのである。 パラレルワールドと聞いて思い出すのは去年の冬、三日ほど季節以上に寒気と絶望を味わいつつも、なんとか事態打開にこぎつけた俺なのだが、その三日の内の一日、俺以外に忘れ去られた十二月二十日に光陽園学院の古泉一樹がこんなことを言っていた。 ――あなたの言葉を信じるならば、聞いた限りにおいてあなたが陥った状況を説明するには二通りの解釈が挙げられます。 一つは、あなたがパラレルワールドに移動してしまった、というものです。元の世界からこの世界へ。 二つ目の解釈は世界があなたを除いてまるごと変化してしまったということですね。しかし、どちらにも謎は残ります。 前者の場合ですと、ではこの世界にいたあなたはどこに行ったのか謎ですし―― まあ、あのときは後者だったわけだが、昔、何かの本で見たような見ないようなという曖昧さ抜群のパラレルワールドの説明の中に、元の世界から別のパラレルワールドに一人の人間が迷い込めば、同時にその世界の当人ははじき出されて別のパラレルワールドへ移動してしまうと書かれていたような気がする。 が、どうやらこの仮説は誤りだったようだ。 確かに『自分』という存在は一人しかいない訳で、世界に『自分』は二人以上存在しないとなれば、別世界から『自分』が迷いこめば、元の世界の『自分』も別世界に行かないと『自分』という定義に辻褄が合わなくなるという理屈なのである。 ところが今、この薄っぺらいスチール製の扉を隔てて向こうにも俺の目の前にも涼宮ハルヒがいるのだ。 この本の著者はいかに想像でもっともらしいことを書いていたかがよく分かる。 「ふうん。機関誌ね」 「そうです。冬に我々が一冊作り上げましたところ学校内でも結構な評判となりましたから季節ごとに出版するのもよろしいかと思い、長門さんと話し合いをしていたんですよ。長門さんはSOS団団員であると同時に文芸部の部長さんでもありますからね。我々が協力して文芸部を盛り立てていけば、あの生徒会長も何も言えなくなるでしょうし、他のクラブに献身的に協力する姿を見ればSOS団を学校公認の同好会にせざる得なくなるやもしれませんから悪い話ではないかと。もちろん、長門さんの承諾が前提でしたのでその後、涼宮さんにお話ししようと考えていたんです」 さすがは古泉だ。 よくもまあ、思いつきでここまで流暢にでたらめを話せるものだと感心してしまったね。それも俺たちのことを少しも表情に出さないんだからなおさらだ。 しかし今はその騙りに縋るしかないからな。 頼むぜ古泉、長門。できるだけ早めにハルヒを追い出してくれよ。でないと絶対にまずい。この状況で俺はいつまで理性を保てるものか分かったもんじゃない。 なんたって、別世界のポニーテールハルヒと俺は、この狭い掃除用具入れロッカーに収まっているんだ。もちろん、このロッカーは人一人入るのさえやっとなのに二人で入るとなれば当然、密着状態にならざるを得ず、事実俺たちは密着しているし、朝比奈さんほどでないにしろ、ハルヒだってスタイルは抜群なんだ。俺の胸辺りは温かく柔らかい丸びを帯びた最高の感触を味わっているし、しかも前回の朝比奈さんの時と違って今は初夏の息吹がもうそこまで迫ってきている季節なんだ。ポニーテールとハルヒのスタイルと中の熱気が相俟って、もはや真田幸村がいない大阪夏の陣よろしく、外堀と内堀を完全に埋められてしまい、なおかつ天井裏にも刺客が侵入してしまっていてもうどうしようもないくらいの状況に陥っているんだ。スチール扉のスリットから向こう側を見て、目の前のハルヒから視線を逸らしておかなければ絶対にやばい。 「まあ別にあたしはあのいけすかない生徒会長のご機嫌取りなんてするつもりは全くないけど、そうね。久しぶりに機関誌を作ってみるのもいいかもしれないわね。あの時の盛況ぶりは今でも覚えてるし、キョンに今度こそまともな小説を書かせるのも悪くないわ」 って、何でそこで俺の名前が出るんだ? だいたいあの話だって、お前、結構満足してたじゃねえか。最後のオチだけは必死に死守したがそれでもアレは一発OKをお前が出したんだぜ。俺にアレ以上の話が書けると本当に思っているのか? と言うか、今度は恋愛小説なんてクジを引かんようにしなければならん。 「有希もそれでいい?」 「いい」 「よし。今日の放課後の活動はそのミーティングで決まりね! キョンとみくるちゃんにも言っておくわ。それじゃ!」 ちょっと待て。これじゃ文字どおり嘘から出た真ってやつじゃないか。 そもそも古泉と長門はなんとかなるかもしれんが俺と朝比奈さんはまた苦しむlこと間違いなしだ。 などと俺は思っていたわけだが、よく考えたら仕方がないことだよな。 否定せず、論議もせず、ただ肯定すればそれでハルヒは満足して立ち去って行くだろうから。現にハルヒはおそらく上機嫌に足に羽根が生えてるんじゃねえかという浮かれっぷりで文芸部室を後にしたはずだ。 文芸部室の扉が閉められる音を聞いて、 「ぷはぁ……」「ふひぃ……」 思いっきり息をついて俺とポニーテールハルヒは掃除用具入れから脱出した。 いや熱かった。それも別の熱気も混ざり合っていたから正直のぼせてしまうギリギリだったぞ。 「助かったぜ古泉、長門」 「どういたしまして」 「いい。わたしも同じ」 俺の素直な感謝に古泉も安堵と脱力を足したような笑みを浮かべ、長門もまたそっけないその返事の中に安心感が現われていたような気がする。 「あの……キョンくん……今のがこっちの世界のあたしなの……?」 「ああそうだ……って、そっちの世界でも俺はキョンなんてあだ名で呼ばれてるのか!?」 「あ……うん……」 俺の詰め寄りにポニーテールハルヒがちょっと困った笑みを浮かべて首肯している。 ん? しかしこの表情は『気まずい』よりもなんか『照れてる』っぽいよな? どういうことだ? 「あ、ごっめ~~~ん、ここに来た本来の目的を忘れちゃってたわ♡」 って、なんですと!? とっても明朗活発な声とともにいきなりドアを開けたのは、先ほど立ち去ったと思われたこっちの涼宮ハルヒその人であった。 涼宮ハルヒの遭遇Ⅱ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1617.html
「今度の夏合宿は○○県横泉郷(おうせんごう)にいくわよ!」 ハルヒのこの一言により俺達の夏合宿はめでたくミステリーツアーに 決定された。 ここから電車とバスに揺られること数時間、山奥の閑静な村だそうだ。 避暑にはもってこいかもしれないが最近失踪事件が続いており それ系の業界ではミステリースポットとして有名らしい。 なんでわざわざこういう所を選ぶんだろうね、ホント。 「さあ今回の合宿はみんなで真夏の怪談を体験するわよ!」 そう言って目を輝かせるハルヒと対照的に他のメンバーが 浮かない顔をしているのが少しだけ気になった。 その後も準備やら何やらで色々あったが、あっという間に 時間は過ぎ去り今日はいよいよ合宿当日だ。 因みに旅の手配をした古泉が5人分しか部屋を確保できなかった為 今回の合宿はSOS団の面々のみで行う事になっている。 電車を乗り継ぎ、延々と山道を通ってきたバスを降りると そこは正しく夏と呼ぶに相応しい世界だった。 山奥という事で快適な避暑生活を期待したのが むしろこっちの方が暑いかもしれない。 だがそれさえ我慢すれば本当に閑静な所で雄大な自然の中 都会の喧騒を忘れるのには丁度良さそうだった。 途中ですれ違った村の人やこれから泊まるバンガローの オーナーもおおらかでここの土地柄が良く表れていた。 そんな状況なのだから誰しもせわしない日常を忘れゆったりと 過ごそうとするものだが、ここにそうは思わない心の貧しい奴がいた。 もちろんハルヒである。 「何言ってんのよ。早速噂のミステリースポットに行くわよ!」 やれやれ。そのミステリースポットとやらは俺達の泊まるバンガローから 歩いて1時間くらいの所にあるらしい。途中、村の人にも聞いてみたから 間違いないだろう。 炎天下の中、1時間も歩くのは想像以上にきつかったが 俺達はやがて開けた丘に辿り着いた。 丘の上には樹齢千年を超えていそうな大木がそびえ立ち その周りを等身大の石柱が取り囲んでいる。 大木と石柱は注連縄で結ばれており下向きに尖った三角に×印を 重ねたような模様が随所に描かれていた。 「噂じゃこの御神木にいたずらすると祟りに遭って失踪しちゃうらしいわ。 やっぱりここは定番通り落書きかしらね。」 おいおい、どこの小学生だよ俺達は。 「そうですね、ここはもう少し観察されてみてはいかがでしょうか。」 「いたずらは止めた方が良いと思います。祟りは怖いです。」 投げやりに突っ込んだ俺に古泉と朝比奈さんが同調した。 いつもはハルヒの太鼓持ちなのに珍しいな、古泉。 「もうみんな何言ってるのよ。多少のリスクは覚悟しないとこの世の 不思議になんていつまで経っても遭えないわよ!」 そう言ってハルヒは大木をバシっと叩いた。さして力を入れた様にも 見えなかったし、いくらハルヒが馬鹿力だからってそのリアクションは いかがなものかと思うのだが… 次の瞬間いきなり大地が激しくのたうち俺達は地面に打ち付けられていた。 痛てて… どれくらい動けないでいたのか分からないが俺は痛む体を起こして周りを見る。 みんな転んではいるが無事なようだ。 とりあえず一安心したが、俺はすぐ絶句する事になる。 なんとハルヒが叩いた所から大木が縦に裂け…真っ二つに…割れていたのだ!! どうなってんだ、これ。 「えっ!嘘っ、あたしはちょっとはたいただけで…」 珍しく狼狽するハルヒに古泉がフォローを入れた。 「きっと今の地震のせいでしょう。僕達が来ても来なくても こうなっていたと思いますよ。」 そして古泉は額に手を当てて熟考するような素振りを見せてから付け加えた。 「むしろ僕達はここに来なかった。ここに来る前に地震に遭い宿が心配になって 引き返した。そういう事にした方がいいでしょう。」 おいおい、そこまでしなくてもいいんじゃないか? 「僕達が原因ではないのですし、あなたも村人から要らぬ誤解を 受けたくは無いでしょう?」 「そうね、きっとその方がいいわ。せっかくミステリースポットに来たのに 残念だけど、村に引き返しましょう。」 流石に動揺しているのかハルヒはぎこちなくそう言った。 みんな立ち上がって帰ろうとする中、朝比奈さんがまだヘタリ込んでいた。 大丈夫ですか?と呼びかけたが反応が無い。腰でも抜かしてしまったのかと思い 近寄ると朝比奈さんは目を大きく見開いて何かを呟いていた。 声が小さすぎて聞き取れないが一定の動作を繰り返す唇を必死で追う。 「………チ………、 ………チ……タ、 ……レチ……タ、 ……レチ…ッタ、 …ワレチ…ッタ、 え?… 「 ノ ロ ワ レ チ ャ ッ タ、…」 !!!? 「呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、 呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、 呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、…」 お、落ち着いて朝比奈さん。今のはたまたま地震が起きただけで 俺達とは無関係ですよ。 俺は彼女をなんとか安心させようとするが朝比奈さんはガクガクと震えながら 声にならない声をただただ繰り返していた。目には涙まで浮かべている。 「ちょっとみくるちゃん、しっかりして!」 ハルヒも駆け寄ってきたが朝比奈さんはまるで気がつかない。 10分くらいは待っただろうか、それでも朝比奈さんの様子は変わらなかった。 「仕方ありませんね、とりあえずあなたと僕で朝比奈さんを支えて戻りましょう。」 「そうね、じゃあキョン、古泉君頼んだわよ。」 もう少し待っても良いだろうにとも思ったが、朝比奈さんが落ち着きそうにないのも 確かなので俺は古泉と共に朝比奈さんを両脇から支えて歩き出した。 結局、朝比奈さんはバンガローに着くまで同じ言葉を繰り返していた。 バンガローの前ではオーナーが俺達の帰りを待ってくれていた。 先程の地震で事故に巻き込まれてないか心配して見に来てくれたらしい。 でも最初は分かったその顔も分かれる時には影に染まってもう識別できなかった。 誰そ彼時とは言うがこんなにも分からなくなるものだろうか。 人間じゃないみたいだ…何故だかわからないが不意にそんな考えが浮かんで消えた。 翌日、昼前にまたオーナーが家で取れたからと野菜を一盛り持ってきてくれた。 ありがたく受け取りお礼を述べる。 「ええよ、ええよ。あんた方はシラハさんなんだからゆっくりしていってーな。」 シラハさん?この地方の方言だろうか? 「ああ、大事なお客さんってところだよ。 それと昨日の地震で崖崩れが起きて、麓への道が埋もれてしまったんよ。 あんた方、明日帰るって言ってたけど3、4日は麓まで行けんみたいなんよ。 もし当てがなければずっとここ使ってええよ。料金も前払いしてもらった分だけで ええから。」 それは有り難い。丁重にお礼を言っておく。 それにしても終始笑みを浮かべて気さくに話してくれているのに その表情は作り物めいていて薄気味悪さを感じてしまうのは何故だろう。 やはり後ろ暗い事があると萎縮してそんな風に感じてしまうのか…? 昨日は流石に大人しかったハルヒだが夜が明けるとすっかり いつものペースに戻っていた。 朝比奈さんは平静を装っていたが時たま黙り込んでは考え事をしている。 確かに昨日の様子は普通じゃなかったしね。 全くハルヒの奴も少しは大人しくなれば良いのに。 だがハルヒの横暴は止まらなかった。その夜はなんと怪談をやろうと 言い出したのだ。おいおい、朝比奈さんの事も考えろよ。 もう少し空気読む事を覚えてくれ。だがハルヒ以上に空気を読めない奴がいた。 「ちょっとここ横泉郷(おうせんごう)について調べてみたんですが 昔は別の名前で呼ばれていた様です。」 古泉だった。勿論ハルヒも興味津々で食いついた。 「へぇ、なんて呼ばれてたの?」 「横泉という字を分解すると、木、黄、泉に分けられます。昔ここは 黄泉山(よもつやま)と呼ばれ恐れられていました。文字通り死者の 住む山と考えられていたようですね。」 「なるほど。でもなんで横泉郷に変わっちゃったの?」 「ある時ここに天の神が降り立ちその身を御神木に変えてこの地を 平定したそうです。以来 木 の神によって平定された 黄泉 という事で 横泉と呼ばれるようになった様ですね。」 「えっ…その御神木ってまさか…」 流石のハルヒも顔を引きつらせる。 「はい、どうやら昨日のあの大木みたいですね。死者の地を平定していた神が 倒れた今この地はどうなってしまうのでしょう…とても興味深いところです。」 アホか。昨日の今日でよくこんな話ができるな。少しは空気を読め。 意外というか幸いだったのはこれを聞いても朝比奈さんが特に怖がらなかった事だが ハルヒといい古泉といいなんとかならんのかね、ホント。 古泉以外にネタを持っている人間が居なかったし、古泉の話で一気に クールダウンした為、怪談はそのままお開きになった。 バンガローには部屋が2つあるだけだったので、俺と古泉、女子3人で それぞれ1部屋という部屋分けになっている。 「あの話を敢えてしたのはあなたと涼宮さんに現状を知って欲しかったからですよ。」 部屋に戻ると古泉はそう切り出した。 おいおい、あの電波話が本当だと言うんじゃないだろうな? だが古泉は何も答えず両手をすくめただけだった。 …何が言いたいんだ、全くわからんぞ。 次の日もハルヒが虫取りをすると言って俺達は山の中を駆け回った。 全くどこからその元気は湧いてくるんだろうね。 夕方、晩飯までのしばしの間、俺はバンガローの窓辺で涼を取っていた。 だが蒸せるような暑さはいかんともし難く、間近に迫った山々から聞こえる セミ達の大合唱に意識は朦朧としていく。 まどろむ内に、どこからともなく子供達の歌が聞こえてきた。 「いたずらな わるいこは しらはのやがたてられる うそをつく わるいこは しらはのやがたてられる あやまらぬ わるいこは しらはのやがたてられる しらは さん しらは さん むらじゅう みんなに おいかけられる てんじんさまの そなえもの」 なんだ?何か引っかかる…しらはさん?この呼び名どこかで… …………………………………… ………………………… ……………… …… !!!!! そうだ、昨日オーナーが来た時確かに俺に向かって シラハさん と言っていた。 でもそれはただのお客って意味だって… なのに村中に追いかけられるってなんだよ!!! 確かにハルヒの奴は大木にいたずらをしようとしてた。 でも実際は何もしないうちに地震で大木は裂けてしまったじゃないか!! 別に俺達が嘘をついたわけじゃない… 謝る必要だって…無い筈だ!!! …いや単なる偶然だろう。昔の呼び名が変わり変わって使われる事だってあるさ。 そうさ、そうに…決まってる! ……… そう考えて何の気なしに、本当に何の気なしに窓の上を見上げて俺は戦慄した!!! そこには…刺さっていた… 装飾にしては余りにもおかしな突起物。 真っ白い羽根がバンガローの壁から生えていた… いや違う!壁に白羽の矢が突き刺さっていたのだ!!しかも2本!!! 慌てて隣のハルヒ達の部屋の壁も見てみる。 そこにもあった… 白羽の矢が… 3本…同じように壁から生えていたのだ!!! 俺は体調が悪いからと晩飯も早々に切り上げて部屋の布団に潜り込んだ。 とにかく今は寝よう。十分休息を取れば考えだってまとまるさ。 だが夢の中でも俺に平穏は訪れなかった… 誰かが呼んでる気がした。この声は………長…門? 「逃げて。」 長門!!?? おかしな話だが夢の中で俺は目覚めた。逃げろってどういう事だ? 「私ではダメだった。あなた達を守りきれなかった。だから…逃げて。」 ダメだったってどういう事だ!? 「もう時間がない…お願い、逃げて。」 おい、どういう事なんだ、長門!!闇に向かって呼びかけるが 長門の存在がどんどん希薄になっていくような錯覚に囚われる。 「また図書館に…」 前にも聞いたこの言葉。そうだ…あの時だって絶望的な状況だった。 だが俺達は無事帰ってきた!!なら…今回だって!!!! だが長門の言葉はこれだけでは終わらなかった。 「… … … …………………………………………いきたかった…」 っ!!!!!!???????!!!!!!! おい、長門。行きたかったってなんだよ!もう次が無いみたいな言い方は!! そんなのお前らしくないぞ!!! 俺は跳ね起きた。寝汗で体中ベトベトだったが今はそんな事はどうでもいい!!! 長門!!!!!無事でいてくれ!!!!俺は一目散に隣の部屋に向かっていた… 長門!!居たらここを開けてくれ!!長門!!! 俺は隣部屋の扉を乱暴に叩きつけながら声を張り上げた。 頼む…無事でいてくれ!! 「うっさいわね、今何時だと思ってんのよ。」 怒鳴り続けているとハルヒが不機嫌そうに答え、扉を開けた。 ハルヒ、長門は無事か!? 俺はすぐさま扉を押しのけハルヒ達の部屋に入る。 「ちょ、勝手に乙女の部屋に入らないでよね!」 緊急事態なんだ。そんなの構ってられるか!! 「ふえぇぇ。」 ズカズカと部屋に入ると朝比奈さんがビックリした表情でタオルケットを 握り締め俺を見上げていた。しかし長門の姿は…何処にも…無い! 「トイレにでも行ってるんでしょ。」 扉には鍵がかかっていたぞ!! 「じゃあ鍵を持っていったんでしょ。誰かさんみたいな変質者が 部屋に入ってくると困るしね。とにかく、寝ぼけるのもいい加減にしてよね。 今度あたしの安眠を妨害したら許さないんだからね!」 そう言うとハルヒは俺を部屋の外に押し出し、有無を言わさず扉を閉めた。 そんな………長門……どこに行っちまったんだ… 扉の前で呆然としているといつの間にか起き出していた古泉が声をかけてきた。 「トイレにも長門さんは居ないみたいですね。随分取り乱されてましたが 何かあったんですか?」 俺は部屋に戻るとさっき見た夢のことを古泉に話した。 「なるほど…単なる夢と片付けてしまうのは簡単ですが出てきた相手が 長門さんだけに気になりますね。たまたま散歩に出かけていた、という オチなら助かるんですが…」 この時間に散歩なんて不自然だろ!!また俺は声を荒らげていた。 「落ち着いて下さい。もし本当に何か起きているなら単独行動は危険です。 この時間に出歩くのもミイラ取りがミイラになりかねません。 それに本当に杞憂である可能性だって残っています。 …ひとまず今夜は休みましょう。」 反論しようと思ったが出来の悪い俺の口はついに言葉を紡ぐ事はなかった。 …俺は力なく布団に横たわる。 「逃げて。」 悲しげにそう言った長門の声がいつまでも頭から離れなかった… 気がつけばいつの間にか夜は明けていた。 結局俺はほとんど眠ることができなかった。 そして…朝になっても長門は戻っていなかった。 流石にハルヒもやばいと思ったのだろう村の人達にも応援を頼み みんなで方々を探し回った。 (俺は村人に得体の知れない何かを感じていたので、正直あまり村人と 接触したくはなかったのが、そうも言ってられない。 あと、長門が行方不明だと分かるやまた朝比奈さんが真っ青な顔で 錯乱状態になった為、朝比奈さんには宿で安静にして貰っている。) 日が落ちて捜索できなくなるギリギリまで俺達は村中を必死に 探し回ったが、ついに長門は見つからなかった。 肉体的疲労もピークに達していたし、何より長門が行方不明だという 現実が俺達をより一層疲労させていた。 仕方なく、重い足取りで俺達は宿に戻った。 俺が部屋に入り今後の事を考えようとした矢先、ハルヒの叫び声が聞こえてきた。 「ちょっとみくるちゃん、何やってんの!やめなさい!!」 俺は慌ててハルヒ達の部屋に飛び込む。 部屋の中を見ると朝比奈さんが壁際に座り込んで何かしていた。 …何を…してるんだ…? 朝比奈さんの方に近寄っていくと耳障りな音が聞こえてきた… カリ、カリ、ガリ、……… カリ、……、カリ、… カリ、カリ、カリ、………、ガリッ、… っ!!!!????!!!! 俺は一瞬自分の目を疑った。 朝比奈さんは…壁際に座り込み…模様を描いていた… 円に内接する上向きに尖った三角の模様…! それを…何個も!何個も!!何個も!!! それこそ壁がその模様で埋め尽くされるくらいにっ!!!! しかも自分の…爪を使って!!!!! 爪はボロボロに欠け…あるいは歪み…指先からは血が滲んでいる!! そしてその血は壁に赤黒く禍々しい陰影を…塗り込めていく!!!!! しかもまた声にならない声をひたすら繰り返して!!!! 「何ボケっとしてるよ!あんた達も手伝いなさい!!!」 ハルヒにそう言われやっと我に返った俺と古泉は 慌てて朝比奈さんの手を取る。朝比奈さん、落ち着いて!! どう言っても朝比奈さんは手を止めなかったので仕方なく両手両足を縛って 大人しくして貰った。これ以上あの白魚みたいな綺麗な手が 傷だらけになっていくのは耐えられないからな。 「なんで…こんな事になっちゃったの…」 「朝比奈さんは繊細な方ですからね。ショッキングな事件が連続で起きて 動転しておられるんでしょう。」 珍しく弱音を吐いたハルヒに古泉がフォローを入れる。 そうだな、朝比奈さんには刺激が強すぎたんだろう。長門が見つかったら すぐにここを引き払った方が良いだろうな。 「そうね、とにかく有希を見つけてできるだけ早く ここを立ち去りましょう。 明日も有希を探さないといけないし、今日はもう寝ましょう…」 そういう訳でその日はみんなすぐ床についた。 昼間の疲れもあって眠りの闇に落ちるのも一瞬だった。 だが、またしても俺に安眠は訪れなかった… 「起きて。」 この声は………… …………長門!!!!???? 俺は跳ね起きた!…勿論夢の中でだが。 「このままでは手遅れになる。早く起きて。」 どういう事だ? 「説明している時間はない。起きて。」 起きろって言われても…と困惑した俺だがどうやらなんとかなったらしい。 不意に俺は意識を取り戻した。 しかし、最初に目に入ったのは天井ではなかった。 ……古……泉…… なんと古泉の顔がすぐ間近に迫っていた。何やってるんだ気色悪……!? 古泉の様子がおかしい…親の仇にでもあったかの様な形相で俺を睨み付けている。 しかも、両手を…俺の首に…かけながら!!!!! は、離せ…!! 声を出そうとするが声にならない…くそっ!どうなってやがる!!! だが幸運の女神はまだ俺を見放していなかった。 「ぐふっ!」 理由はわからんが古泉が一瞬怯んだ。その隙を見逃さず俺は思い切り 古泉を突き飛ばした!! ごほっ、ごほっ… 俺は咳き込みながら立ち上がり電気を付ける。 そこでまた俺は信じられないものを目にした… 古泉は上半身裸だった。しかも胸には下向きに尖った三角に×を重ねた 模様の傷がくっきり刻まれており、今も…血が…流れ落ちている!!!! そこだけじゃない、喉と両手からも血が出ているところを見ると そこも同じようになっているんじゃないか!? 古泉…それ…自分でやったのか……!!!??? その問いに古泉は何かを答えた。だが喉が潰れているのか声にならない… それが分かったのか古泉は一音、一音、区切って口を動かす。 ……ツ……カ……エ…… ツカエ… 使え って言ってるのか? そう聞き返したが古泉は脂汗を浮かべながら懐かしさすら感じる あのニヤケ面で笑っただけだった。そしていつの間にか握っていたそれを 俺に放り投げて渡す。 これは………壁に刺さっていた…白羽の矢!!!??? 俺がそれに気を取られた隙に古泉は窓から飛び出して行った… どうなってんだ…一体…!? 疑問は尽きなかったが昨日も徹夜同然だったし今の事件も想像以上に 俺の気力を奪ったらしい。気が付くと俺は再び眠りの闇に落ちていた… 翌日、俺は目を覚ましてから後悔しまくった。 古泉が素直に逃げずにハルヒ達を襲うという可能性を完全に失念していた! ハルヒ、朝比奈さんどうか…無事で居てくれ!! また俺は隣部屋の扉を叩きつけてハルヒをたたき起こす。 ハルヒは今回も不機嫌だったが2人とも無事でホッと胸を撫で下ろした。 良く考えれば、あの後戻ってこられたら窓は開きっぱなしだったし 俺が一番危なかったんじゃなかろうか…今更ながらゾッとする。 古泉までトチ狂ったとは言いにくかったので 今朝起きると古泉も居なくなっていたとハルヒ達には伝えた。 その日、長門に続き古泉まで失踪したと村人に伝えると村は騒然とした。 俺達は勿論、村の人も昨日以上に人数を集めて2人の捜索に当たる。 …だが結局今日もなんの手掛かりも掴めないまま日が暮れてしまった。 満身創痍で宿に戻った俺とハルヒはそのまま部屋に戻っていた。 連日の疲労で足元がふらついていたんだろう、俺は足をもつれさせて 転んでしまった。 咄嗟にタンスを掴んだのでタンスがずれてしまった。 くそっ!悪態をつきながらタンスを戻そうとして 俺は声にならない声を上げた!!! タンスで隠れていた壁には… 一面に描かれていた…!!! 朝比奈さんが… 描いていた…円と三角のあの模様が…!!!! 壁一面にびっしりと!!!! しかも…ところどころ赤黒く染まっている!!! こっちも爪で血を流しながら描き殴ったに…違いない!!!!! なんだよ!!これっっ!!!!
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2660.html
ハルヒニート最終章 「ただいま」 俺は仕事疲れの体を引きずって帰宅し、我が家の玄関を開けた。奥からエプロン姿のハルヒが顔を出した。 「おかえりキョン。ご飯できてるけど先に食べる? それともお風呂にする?」 家の中からはおいしそうな夕食の香りが漂ってきた。俺は風呂より先に食事にすることにした。 食卓の上には見た目にも美味そうな塩鮭や味噌汁などの和風メニューが並べられた。もちろん全てハルヒの手作りだ。その食事が4人分配膳されたところで、ハルヒが子供たちに声を掛けた。 「晩御飯できたわよ! パパも帰ってきたから一緒に食べなさい」 それを聞いて「は~い」という返事が二人分帰ってきて、子供二人がとたとたと足音を鳴らしながら食卓に着いていった。 「ほら食事の前はちゃんと手を合わせて、いただきますって言うのよ」 「「いっただっきまーっす!」」 子供たちは元気に答えた。 ハルヒの薬指には俺が送った結婚指輪、もうハルヒの姓は涼宮ではなくなっていた。 幸せを絵に描いたような光景を眺めながら、俺は…………。 「ちょっといつまで寝てんのよキョン? 会社に遅刻するわよ!」 俺は目を覚ました。ハルヒの声で。そう、全ては夢だった。なんて夢見ちまってるんだ俺……。疲れてんのか俺……? 「寝ぼけてないでさっさと起きて朝ごはん作ってよ! お腹空いちゃったあたし」 ハルヒはそう言って、再び台所へと引っ込んで行った。 妙な夢を見たせいで寝起きも悪い。一体なんだって俺とハルヒが結婚して、しかも二人の子宝に恵まれて暮らしてる夢なんて見たんだ俺は? フロイト先生も爆笑もんだ。 ハルヒは相も変わらず俺と同じアパートの部屋で生活している、食事代など生活費は俺に一切まかせっきりにしてだ。今のハルヒはいわゆるパラサイトとかニートと呼ばれる部類に属する生活を送っているのだった。 そして断っておくが俺とハルヒは結婚なんてしてないし、まして未だかつてそうしなければならなくなるような既成事実に繋がる行為をしたことも一度としてない、誓って言う。 俺はただハルヒが今のニート生活から脱却し、一人前の社会人になるまでの間こうして食事と生活する場所を一時的に提供しているだけだ。 「朝飯、何がいい?」 「ベーコンエッグ、あとサラダも付けて」 やれやれ、言葉だけ聞いてりゃ同棲相手の台詞にゃ聞こえんな。これじゃ少し大きめの子供と二人で暮らす父親といったところだ。 だがその子供にも最近少し様子に変化が伺えるようになった。 まず今だって、俺がフライパンで卵とベーコンの炒め物を作っている間に、ハルヒがそれを盛り付ける皿を自分から台所に出してくれている。 そんなの手が空いてれば誰だって当然することだが、少し前のハルヒからは考えられない行動だ。それにこれまた言われても無いのに、机の上を拭いて二人分の食パンをオーブンに入れてと、積極的に朝食作りを手伝ってくれていた。 そして食事の後はハルヒが俺と自分の食べた分の皿を流しで洗っていた。といってもこれは日替わりの当番制で、明日は俺がやることになっているんだがな。 一日中家にいる女と、日中働きに出ている男が家事を共有して、しかもどうしてそれを半分ずつというおかしな比率で配分されるのかと文句を言うのは、以前まではその家事すら俺が全部一人でやっていたことを知らない人間の考えだろう。 ハルヒは変わった。未だにニート状態からの脱却はかないそうにないが、家では掃除も洗濯も俺と共有してこなすようになったし、たまにだが食事も作ってくれるようになった。 そうなるために俺が努力した点もたくさんあるが、やはり何よりもハルヒ本人の気持ちがあったからこそここまでやってこれたのだと思う。 「ごちそうさん。それじゃハルヒ、行ってくるから」 「うん。いってらっしゃい、今日の帰りまた遅くなるの?」 「多分な。早くて6時過ぎ、遅けりゃ10時過ぎるだろうから、その時は電話するよ、晩飯は先に食べといてくれ」 「ううん。遅くなっても別にいいわ。キョンが帰ってくるまで待ってるから」 そりゃ自分で飯作るのが面倒だからか? とは聞かずに俺は家を出た。 風向きは変わってきている、それも確実によい方向に。 ハルヒは最近、以前と同じ活発さを取り戻してきていた。 ハルヒはあれほどハマっていたネットゲームからもすっかり足を洗った。まだ少しネットの掲示板を覗いたり、サイト巡りをする習慣は抜けていないらしかったが、パソコンの前に座ってるのはせいぜい一日に1・2時間程度ということだ。 この調子なら、本当にハルヒが働きだせるようになるまで心を快復させる日は近いかもしれない。いや、ひょっとしてもうとっくにそうなっているのかもしれない。 もしそうなったら、俺はこのハルヒとの奇妙な同棲生活を終えることができ、ハルヒも実家に帰ってまた元気に過ごすことになって、全て元通りのめでたしめでたしとなるわけだ。 俺はそれを望んでいたはずだ。恐らくハルヒにとってもそれが理想の形であるはずだ。 だが別に俺は今の生活になにか不満があるわけじゃない。 極論、今朝夢で見たような光景が将来にあったとしても文句を言いたい気分にはならない。 しかし冷静になって考えてみろ。ハルヒにだって選ぶ権利がある。あれほどの器量よしなら、きっとどんな男でも捕まるだろう。だったら、俺が無理にハルヒを引き止めることがあいつのためになるとは思えない。 「…………そりゃあな。元々吊り合わない仲だとは思ってたさ」 少なくとも俺がハルヒの立場なら、こんなさえない男に惚れたりしないと思う。だからハルヒも今は無頓着だが、あいつのためを思うなら今のうちにあいつを元の生活に戻してやって、早く社会復帰していい男と一緒になれるようにしてやるのが最善策なのさ。 やれやれ、俺にとってハルヒってのは何者なんだろうな? まるで年の離れていない子供を持っているような気持ちだ。気づけば俺はあいつの将来だのなんだのについて考えてる。 「え? 今日はもう帰っていいんですか?」 「ああ。取引先から急なキャンセルがあってね。今日予定してた仕事は全部無しになった。だからキョンくんもまだ早いけど帰っていいよ」 呼び出された上司からそう言われて、俺は一礼してからその場を後にした。 ちなみになぜ俺が職場でもキョンと呼ばれているかというと、同期入社してきた奴の中に俺と同じ名字の奴がいたため、区別するために俺の方があだ名で呼ばれることになったのだった。これで定年まで俺の本名を呼んでもらえる機会が無くなったわけだ。 「まあ、せっかくの半ドンだ。昼飯買って帰るか」 家では今頃ハルヒが一人で昼食の仕度を始めている頃だろうか。俺が会社を後にして、電車に乗って帰ってアパートに着いたときには、昼のお茶の間定番ソング「お昼休みはウキウキウォッチング」が流れている時間だった。 「ただいま、今日は早く帰れたから…………ってあれ?」 家の中には妙な景色があった。ハルヒがいるのは問題ないが、もう二人知らない人間が追加されていた。 「おかえりキョン、これあたしの両親、なんかあたしが心配で来たんだって……」 ハルヒがそう紹介した。 「あなたがキョンくんですか。娘が世話になっています」 母親のほうがぺこりと頭を下げた。俺もつられるようにお辞儀を返した。 「キョン。あんたが連絡してたんですってね、母さんたちに、あたしがここにいるってことを」 ハルヒはぶすっとして口をアヒル形にしながら言った。 そうだ、俺が連絡していた。ハルヒをこっちに連れてきた翌日に。つまりずっともう前の話になる。 そりゃあいくら家出人とは言え、黙って家に連れ帰って住ませてますとはいかないだろう、常識的に考えて。 俺はハルヒの両親に、ハルヒを預かっている旨、それについて本人の同意も得た旨、そしてしばらくしたら元のハルヒに戻ると思うから、それまで任せてみてくださいとの説明をしたのだった。 もちろん連絡先と住所も伝えていた。だがこのハルヒの両親は今更になってなぜいきなり尋ねて来たりしたのだろうか? 「うちのハルヒが随分世話になったようでしたな、キョンくん?」 ハルヒの父親が威厳に満ちた声でそう尋ねた。 「世話だなんてそんな……。別に迷惑だなんて思ってませんし……」 つい気おされるようになって、頭をかきながら俺は答えた。その様子をみてハルヒがふんと鼻を鳴らした。 「それで父さん、一体なんの用事よ? 会いに来ただけ? それならもういいでしょ、とっとと帰ってよ」 ハルヒはぶっきら棒にそう言ってのけた。俺は今までハルヒの家庭事情について詳しく知らなかったが、どうやらこの様子からすると、少なくともハルヒと両親との仲はそんなに良好なものではないらしい。 「ハルヒ、お前もいつまでも彼に面倒を見てもらっているわけにはいかんだろう。はっきり言おう、父さんたちは今日ハルヒを連れ戻すつもりでここに来た」 ハルヒの父親がそう言った。ハルヒはそう来るのはわかっていたとばかりに肩をすくめてため息をついた。 「はあ、やっぱりちっとも変わらないのね父さん。それと母さんも。いつもあたしにそうやって一方的に意見を押し付けるんだから」 「もうハルヒ! そんなこと言ってもあんたは滅多に母さんたちの言うことなんて聞かなかったじゃない! 高校選ぶ時だって、母さんたちが進めた私立の名門高校を受けずに何でもない公立高校に無理やり進学したのを忘れたの?」 「別にいいでしょ? あたしの事なんだからあたしが決めただけよ! 言っとくけど家になんて絶対戻らないわよ!」 ハルヒはぷいっと唇を尖らせて横を向いた。こうなったハルヒはもう誰の話も聞かない。俺でさえわかるんだから、このハルヒの両親も当然に理解しているだろう。 「……キョンくん」 「は、はい。なんでしょうか?」 というかこの人たちも俺をキョンと呼ぶのかよ。まあハルヒがそう教えたのだろうが。 「キミはハルヒの事をどう思っているんだね?」 「え? ど、どうって言われても…………」 「単刀直入に言おう、君はハルヒと結婚を前提として今の付き合いをしているのか?」 …………は? いきなり何を言っておられるのだこのハルヒパパは? 俺がハルヒと結婚する? なぜハルヒについての話が急に三段ワープ並みに飛躍して俺との結婚話にまで進展しているんだ? 「キミも常識ある大人なら、今のハルヒとの暮らしについておかしいと思うだろう? 一つ屋根の下で年若い男女が他人同士一緒に暮らしているなど……」 そりゃあ正論だと思う。俺とハルヒの生活は傍から見たら立派な夫婦生活と映るだろう。 「そうなったら社会的にはもう二人が一生を共にする気があるのか無いのかという疑問が出るのも当然だと思うだろう?」 「父さん! ちょっといい加減に……」 「ハルヒは黙っていろ! 私は今彼と話をしているんだ! キョンくん、だから君の考えを聞かせてもらいたい。もう君はハルヒと一生責任を持って共に暮らしていくつもりなのか、それともそうでないのかを」 「そんな急に言われても……。それにもしそうじゃないと言ったら、ハルヒを連れ帰ってどうする気なんです? ハルヒは知っての通り心の病を持っていて、とても一人で生きていける状態じゃあ…………」 「その事についてはもう心配いらない。知り合いの医者から紹介された派遣カウンセラーと話が通っている。ハルヒがうちに帰っても君の代わりはその人がする」 俺の代わりだって? そんな。俺がハルヒと一緒に暮らしてたのはそんな仕事みたいな関係じゃなくて………… 「キョンくん。誤解してもらっては困るからはっきり言おう。私は君にとても感謝している。この通りだ」 ハルヒパパは座ったまましかし深く頭を下げた。 「この家に来てハルヒを見て正直驚いたよ、以前家を出て行ったときとは比べ物にならないほど落ち着いてくれている。多分全て君のおかげなのだろう、本当にありがとう」 そうだ。ハルヒは前よりずっとまともになっている。もう自堕落に一日中パソコンと引っ付いて生活することもないし、部屋だって自分で掃除している。気の向いたときには俺に弁当を作ってくれることすらある程だ。 だったら…………ひょっとしてもうこの父親の言う通りにすべきではないだろうか? だってハルヒは誰から見てもほとんどまっとうな社会生活を営める能力を持っている。それが誰の手柄かなんて問題じゃない。ハルヒが戻れるなら、早く元の生活に戻してやるべきなんじゃないのか? そう、こんな不自然な関係はさっさと止めにして。 「ハルヒの仕事先についても大手の総合商社と話が付いている。ハルヒの一流大学の肩書きは中退とはいえ十分に買ってもらえたよ」 普通ここまでしてくれる両親ってのは中々いないと思う。ハルヒの両親も、紛れも無くハルヒを愛しているんだ。それは違いない。 でも、ハルヒは気にいらない表情でぶすっと顔をしかめていた。そして俺も内心同じ気持ちになるところがあった。それがなぜなのかはわからない。 「それでねハルヒ。あんたももう25でしょう? もういい相手を見つけて家庭を築いていく年よ、だからその会社で働きながら男の人と仲良くなって…………」 「イヤよっ!!」 ばあん、ハルヒが机をぶっ叩いて立ち上がり反論した。これには俺もハルヒの両親も驚いた。 「母さんも父さんも! いっつもそう!! あたしの事なのに全部そうやって勝手に決めて!」 「お、落ち着けよハルヒ!! 両親だってお前の事を思えばのことじゃないか!? ありがたい話じゃないかよここまでしてもらって! 感謝こそすれ文句をいう筋合いは無いだろ!」 俺がそうなだめると、ハルヒは荒い息を吐きながらもすっと椅子に腰を下ろした。 「……まあそういうことだキョンくん。それでさっきの質問の続きだ。君はハルヒをどう思っているんだ?」 ハルヒパパが落ち着いた、しかし低い声でそう尋ねた。 俺にとってハルヒがどういう存在なのか? それは…………ずっと前にも同じことを考えた。そして今も答えは同じだ。 俺はハルヒが好きだ。 この奇妙な同棲生活にも、言い得ないほどの満足感と幸せを感じていた。 だからハルヒと結婚を前提に付き合う気があるのかと聞かれれば。「はい」と答えることになる。 だが、だったらハルヒはどうなる? 今俺が一緒にいたいと言えば、ハルヒはこの場の勢いで同意するかもしれない。しかしそれが本当にハルヒのためになるのか? 今の生活を引きずってハルヒが婚期を逃すことを両親が一番恐れているのはわかる。そしてそうなったとき、俺は責任を取れるのか? そんなの取れるわけがない。親からすれば自分の娘の一生に関わる問題、必死になるのも頷ける。 ハルヒの両親はすでにハルヒのために家に医者やカウンセラーを準備させるとまで言っている。おまけに就職口も、いい結婚相手を探す方法まで用意してくれている。 今のハルヒは確かに以前のハルヒに戻ったが、それでもまだ高校生と同じくらいの精神年齢にしか見えない。そんなハルヒに今この場で無理やり俺を選ばせて、ハルヒが本当に幸せになれるのか? この両親だって口には出さねど内心は反対している、それは雰囲気で十分伝わってくる。そりゃあ当然だろう、ハルヒならもっと金持ちのいい男をいくらでも捕まえられる。可愛い娘を俺なんかにさらわれたくないと思っているだろう。 俺はハルヒが好きだ。だがそれ以上にハルヒ自身に幸せになってほしい。だったら、ここでの返事はもう決まっている。 「…………わかりました。もう俺がハルヒにしてやれることはありません。ハルヒをよろしくお願いします」 俺は手放した。いつでも手の届くところにあった俺の一番の幸せ、ハルヒとの生活を。 それ以上誰も何も言わなかった。 ただその時のハルヒが顔に浮かべた表情はひどくがっかりしたもののように見えた。ハルヒが一体誰に何を伝えたかったのかはわからなかった。 そしてその後の手続きはひどく事務的なものだった。 まずハルヒパパは、ここでハルヒが世話になった分の金銭を養育費として支払うと言ってくれた。 手渡された小切手に記された金額は、とても一人の人間が一年足らずの生活で必要とする金額ではなかったが、多い分は気持ちとして受け取ってほしいということだった。 それから、ハルヒはそのまま両親と共に家を後にした。これといった私物を持っていなかったハルヒは、ここに来たときと同様に手ぶらで着の身着のまま帰っていった。 あれほど怒り狂うように抵抗していたハルヒはなぜか帰るときはこの上なく大人しかった。 ぱたんと玄関の扉が閉じてからは静かだった。久しぶりに一人になった広い部屋で、俺は一人分の昼食を作って食べた。 それからまた元の生活に戻った。気楽で気ままな独身男性の生活ってやつだ。 仕事は忙しかったがそれが逆にありがたくもあった。早くハルヒの事を忘れちまいたかった。忘れないと俺自身がいつまでも前に進めないと思ったから。 部屋を模様替えして大掃除した。部屋にあったハルヒのために買って来た雑誌やらなんやらは全て捨てた。 クローゼットの中には一つだけ掛けられた女性物の服があった。以前まだハルヒが全くひきこもり状態から回復していなかったときに通販で一緒に選んで買ったものだ。家に送ってやろうかとも思ったがやっぱりそれも捨てた。 ハルヒだってさっさと俺の事を忘れるべきだと思ったから。俺の事も、ここでの生活も全て忘れて、ハルヒママの言う通りいい男でも見つけて幸せな家庭を築いていくべきなんだ。 1ヵ月経った。もうあまりハルヒの事を考えなくなった頃、夕方帰宅した時に一本の電話が掛かってきた。 せっかく家に帰ってまた会社から仕事の話じゃないだろうな。そんなことを考えながら俺は受話器を取って耳に当てた。 電話を掛けてきたの相手は会社の上司ではなく、ハルヒの母親だった。 ひどく狼狽している様子で、ハルヒの母親は恐ろしさから来る震えを堪えるのと同時に、嗚咽を漏らしながらむせび泣いていた。 なにがあったんですか? そう聞くと、ハルヒの母親はなんとか一言を搾り出すために呼吸を整えて、短く俺に告げた。 『ハルヒが自殺した』 後編に続く
https://w.atwiki.jp/animech/pages/19.html
涼宮ハルヒの憂鬱 アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」に関する情報を集めているページです。 あらすじ 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。」 高校入学早々、この突飛な自己紹介をした涼宮ハルヒ。美少女なのだが、その性格・言動は変人そのものであり、クラスの中で孤立していた。しかし、そんなハルヒに好奇心で話しかけた「ただの人間」である、キョンとだけは会話をするようになる。 ゴールデンウィークも過ぎたある日、校内に自分が楽しめる部活がないことを嘆いていたハルヒは、キョンの発言をきっかけに自分で新しい部活を作ることを思いつく。キョンを引き連れて文芸部部室を占領し、また唯一の文芸部員であった長門有希を巻き込み、メイド兼マスコットとして上級生の朝比奈みくるを「任意同行」と称し拉致。さらに5月という中途半端な時期に転校してきた古泉一樹(ハルヒ曰く「謎の転校生」)を加入させ、「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的とした新クラブ「SOS団」を発足させる。(Wikipedia) サイト 涼宮ハルヒの憂鬱・京アニサイト【トップページ】 Wikipedia-涼宮ハルヒの憂鬱 無料動画 YouTube-涼宮ハルヒの憂鬱 ニコニコ動画-涼宮ハルヒの憂鬱 更新ブログ #blogsearch2 最新ニュース 【このラノ】「このライトノベルがすごい!」の歴代トップ作品で好きなのは? 3作品を解説!(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース あなたが一番好きなアニソンは?Eve「廻廻奇譚」、LiSA「炎」など…20年~21年の若い曲が上位にランクイン (アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ヒーラーガールズ、2ndライヴ開催 TVアニメ『ヒーラー・ガール』放送&主題歌担当、朗読劇イベントの開催も発表(CDジャーナル) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース LiSA『鬼滅の刃』で2年連続1位!2021年カラオケ年間ランキング(アニメージュプラス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース “クリスマス”アニメといえば?「東京ゴッドファーザーズ」や「School Days」、「アイカツ!」“斧”シーンも人気!「毎年見たくなる」【#クリスマスツリーの日】(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース PUBG Mobileで『涼宮ハルヒの憂鬱』コラボ開催中。SOS団になって戦場を駆けよう - Engadget日本版 ぼる塾、人気声優との意外な関係を暴露 「私の初めての男」「運命の人」 - Sirabee/しらべぇ 着てみたいアニメの学生服は? 3位「呪術廻戦」都立呪術高専&「コナン」帝丹高校、2位「ヒロアカ」雄英高校 【男子編】<21年版>(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【京アニ】京都アニメーションのテレビアニメ作品で好きなのは? 3作品を紹介(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 神前暁&花澤香菜のNHKラジオ『アニソン89秒の世界』ゲストに大石昌良 - KAI-YOU 「ハルヒ」「らき すた」「けいおん!」楽曲もスペシャルカバーでお披露目! 京アニ初の音楽フェス開催(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 映画「涼宮ハルヒの消失」、“世界改変の日”に復活上映 - AV Watch <京アニフェス>茅原実里、ZAQ、TRUEが「ハレ晴レユカイ」披露 「らき すた」「Free!」「響け!ユーフォニアム」も(MANTANWEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 秋に聞きたいアニソンは?「鬼滅の刃」「ラブライブ!」「名探偵コナン」…主題歌や“ハロウィン”アイドル曲も人気 (アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「京アニ」人気作品投票1位に「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 作画の美しさも話題(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【京都アニメーション】おすすめしたい「京アニ」作品ランキング! 第3位は「涼宮ハルヒの憂鬱」!(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『らき☆すた』『涼宮ハルヒの憂鬱』などアニメ見放題も「ニコニコプレミアムDAY」初開催 - ドワンゴジェイピーnews 「涼宮ハルヒの憂鬱」、「らき(ハート)すた」他大人気アニメのプロデュース統括を手がけた元KADOKAWA常務執行役員【安田猛】氏がPolkaFantasyのカルチャーアドバイザーに就任 - PR TIMES 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を手がけた京都アニメーションって?(GQ JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 声優「平野綾」さんが演じたテレビアニメのキャラクターで好きなのは誰?(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『涼宮ハルヒの憂鬱』再放送(28話)は“サムデイ イン ザ レイン”。とある雨の、何も起きない1日 - 電撃オンライン ROLANDが涼宮ハルヒとコラボで“指差しポーズ” いとうのいぢ描き下ろしで次元の壁を超える(1/2 ページ) - - ねとらぼ 読書の秋!“読書家”キャラといえば? 3位「涼宮ハルヒの憂鬱」長門有希、2位「ヒプマイ」夢野幻太郎、1位は…<21年版> - アニメ!アニメ!Anime Anime 『ハルヒ』でブレイクした平野綾さんの誕生日 本人は読書好きの長門キャラ(マグミクス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース SOS団vsコンピ研、因縁の対決。『涼宮ハルヒの憂鬱』再放送(27話)は“射手座の日” - 電撃オンライン 『涼宮ハルヒの憂鬱』再放送(26話)は“ライブアライブ”。ハルヒの熱唱に鳥肌! - 電撃オンライン 名アニメのシーンが次々と連なるNetflixのCMソングを歌っているのは?(CDジャーナル) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 人気コスプレイヤー・猫田あしゅが涼宮ハルヒに変身!「ハルヒそっくり」「キョンになりたい」と絶賛の声 | ニュース - ABEMA TIMES 「涼宮ハルヒの憂鬱」“私のところへ来なさい!” 原作版・ハルヒが元気いっぱいにフィギュア化 - アニメ!アニメ!Anime Anime 『涼宮ハルヒ』シリーズ原作小説の挿絵イラストがアクキーに!(アニメージュプラス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『涼宮ハルヒの憂鬱』再放送(24話)は“涼宮ハルヒの溜息V”。この作品はフィクションであり… - 電撃オンライン 「涼宮ハルヒの憂鬱」や「文豪ストレイドッグス」の楽曲が弾けるようになる!世界で500万人が利用するピアノアプリ「flowkey」が超人気アニメソングレーベル「Lantis」の楽曲を追加 - PR TIMES 『アイドルマスター シンデレラガールズ』×『涼宮ハルヒの憂鬱』コラボ開催中!【アイマス日記第82回】 | スマホゲーム情報ならファミ通App - ファミ通App 『デレステ』で開催中の『涼宮ハルヒの憂鬱』コラボの追加楽曲として『God knows...』(北条加蓮)、『Lost my music』(中野有香)が登場 - ファミ通.com 神前暁:「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」作曲家が「クラシックTV」に 劇伴の魅力語る - MANTANWEB ハルヒたちが『ワーフリ』の世界へ!? 『ワーフリ』×『涼宮ハルヒの憂鬱』がコラボ! - 電撃オンライン 「ぼくたちのリメイク」×「涼宮ハルヒの憂鬱」コラボ!志野亜貴がハルヒに扮するビジュアルを公開 - アニメ!アニメ!Anime Anime 『デレステ』と『涼宮ハルヒの憂鬱』のコラボが決定!! - 電撃オンライン 『涼宮ハルヒ』ブレーク後に“ライフライン発言”で炎上… レジェンド声優・?... - まいじつ 涼宮ハルヒのように まっすぐだった妻 京アニ事件2年 - 朝日新聞デジタル 涼宮ハルヒ、冴えない彼女、ガンダム…浮世絵とコラボ 人間国宝職人の越前和紙で版画制作、福井県越前市 - 福井新聞 ローランドが「言葉の力」であなたを全力応援! 『君か、君以外か。君に贈るローランドの言葉』発売! 「涼宮ハルヒ」と大物タッグを結成、”世界を大いに盛り上げる”コラボグッズも話題沸騰! - PR TIMES ポニーテール女子は好きですか? 「涼宮ハルヒの憂鬱」ハルヒ「ひぐらし」魅音ら、ABEMAで“厳選ポニテ特集” - アニメ!アニメ!Anime Anime 『涼宮ハルヒ』シリーズのコラボ腕時計、財布、マフラーが予約受付開始へ。『消失』長門のマフラーや北高制服カラーの腕時計で日常に非日常を - ニコニコニュース 勢いは「涼宮ハルヒ」シリーズ級! ロシアンラブコメ第2弾『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん2』が今夏発売決定! - PR TIMES 人気劇場アニメを怒濤の10時間連続放送!『涼宮ハルヒの消失』『メイドインアビス』『ゴブリンスレイヤー』など一挙 | ニュース - AbemaTIMES 「涼宮ハルヒ」SOS団パーカーが登場 - アキバ総研 「八月のシンデレラナイン」,マフィア梶田さんがゲストの“涼宮ハルヒの憂鬱”コラボ記念動画が公開 - 4Gamer.net 『八月のシンデレラナイン』5月1日(土)より『涼宮ハルヒの憂鬱』とのコラボ開催決定!コラボ限定のフルボイスイベントに加え、ログインすると涼宮ハルヒがもらえる! - PR TIMES 【ビブリオエッセー】アラサーも安心のSOS団 「涼宮ハルヒの直観」谷川流(角川スニーカー文庫) - 産経ニュース 【涼宮ハルヒ】好きなSOS団メンバーランキングTOP5! 第1位は「長門有希」に決定!【2021年最新結果】(1/2) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 『涼宮ハルヒ』名曲ランキング!ハルヒ役・平野綾が『ハレ晴れユカイ』に“SOS団の絆” - ふたまん+ 『鬼滅の刃』大ヒットに、ハルヒシリーズが与えた影響とは - ダイヤモンド・オンライン 【涼宮ハルヒ】SOS団人気No.1を決めよう! あなたが一番好きな団員は誰?【アンケート実施中】 | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 「涼宮ハルヒ」人気投票結果発表! “令和”に1番支持されたのは、やっぱり長門? 主人公ハルヒ? それとも... - アニメ!アニメ!Anime Anime 『涼宮ハルヒの直観』なぜ“本格ミステリ”な作風に? 17年続く人気シリーズの文脈を紐解く - リアルサウンド 「冒険でしょでしょ?」や劇伴など「涼宮ハルヒの憂鬱」関連楽曲557曲サブスク配信開始 - アニメハック 11月25日発売!『涼宮ハルヒの直観』アニメイト、ゲーマーズ、書泉の特典情報をまとめてお届け! 豪華特典がもらえる限定版セットをお見逃しなく - アニメイトタイムズ アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの楽曲サブスク解禁 平野綾、後藤邑子のソロなど含む全557曲 - ORICON NEWS 映画『涼宮ハルヒの消失』テレビ愛知にて12/27に地上波初、ノーカットで放送決定 - ファミ通.com アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』全28話一挙放送は本日14時スタート【新刊『涼宮ハルヒの直観』発売記念】 - ファミ通.com 9年半ぶり「ハルヒ」新刊、発売前から大きな盛り上がり ライトノベル週間ランキング - リアルサウンド アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』全28話が一挙無料配信されるのはこの日! - 電撃オンライン 小説『涼宮ハルヒ』シリーズのエピソード別・時系列順番まとめ。『憂鬱』から『驚愕』までの既刊や、最新作『直観』のあらすじを紹介 - アニメイトタイムズ 小説『涼宮ハルヒの直観』発売に総勢100名の著名人から応援コメント!「SOS団の100人応援コメント!」第1弾が公開! - PR TIMES 「涼宮ハルヒ」シリーズ、なぜ大ブームになった? 優れたストーリーとキャラの魅力を再考 - リアルサウンド 涼宮ハルヒ:9年半ぶりの新作発表 影響力とその秘密 - MANTANWEB 9年ぶりの新刊発売も大きな話題に 『涼宮ハルヒの憂鬱』の社会現象を振り返る - リアルサウンド 『涼宮ハルヒの直観』小説カバー初公開! 表紙イラストは いとうのいぢ 描き下ろし「ハルヒ&鶴屋さん」で限定リバーシブルカバーも! 大好評予約受付中 - PR TIMES 「涼宮ハルヒの憂鬱」第9話は台詞と構図を連動させて、登場人物の「関係」と「距離… - アキバ総研 『涼宮ハルヒ』シリーズ|小説 最新刊(次は「直観」)発売日まとめ - アニメイトタイムズ 9年半ぶりのシリーズ最新作『涼宮ハルヒの直観』が11月25日に発売決定! 特典フルグラフィックTシャツが付属するアニメイト限定版が同時発売! - アニメイトタイムズ 「涼宮ハルヒ」完全新作小説、9年半ぶりに発売決定! 250P超の書き下ろし「鶴屋さんの挑戦」ほか2つの短編収録 - アニメ!アニメ!Anime Anime 【ハルヒ新作】9年半ぶりの小説『涼宮ハルヒの直観』11月発売決定 - 電撃オンライン 小説『涼宮ハルヒの直観』11月25日発売! 書き下ろしエピソード「鶴屋さんの挑戦」を含む9年半ぶりの完全新作! - PR TIMES 最新作『涼宮ハルヒの直観』の発表を受けて秋葉原のアニメイト、ゲーマーズ、書泉で急遽チラシの配布を実施! ゲーマーズでは店員がキレキレの“ハルヒダンス”を披露!? - アニメイトタイムズ 【アニメ今日は何の日?】8月17日は『涼宮ハルヒの憂鬱』エンドレスエイトが発生した日! 終わらない夏休みが始まった! - アニメイトタイムズ 伝説のアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のOP映像がプレミア公開 - 電撃オンライン 『涼宮ハルヒの憂鬱』公式サイトが謎の更新を実施。本当によくわからない - ファミ通.com 平野綾ら「涼宮ハルヒの憂鬱」声優陣が“ハルヒダンス”動画を投稿! ファンから「やっぱりこのコンビは最高」と歓喜の声 - ダ・ヴィンチニュース 『涼宮ハルヒの憂鬱』笹の葉ラプソディ展が開催決定 - 電撃オンライン 『涼宮ハルヒの憂鬱』笹の葉ラプソディ展がAKIHABARAゲーマーズ本店で7月7日より開催! 短冊キーホルダーなど新グッズも多数登場 - ファミ通.com 『涼宮ハルヒの憂鬱』に通じるモブ視点の物語 『同じクラスに何かの主人公がいる』が共感を誘う理由 - リアルサウンド 「涼宮ハルヒ」平野綾の「#お家で全力ハレ晴レユカイ」に“コンピ研部長”がコメント 「パソコン返せよ!!」 - アニメ!アニメ!Anime Anime 杉田智和『涼宮ハルヒの憂鬱』EDダンス披露でファン歓喜 足腰痛めて息切れも全力 - ORICON NEWS 『シャドバ』×『涼宮ハルヒの憂鬱』長門有希(声優 茅原実里)のリーダースキン紹介映像公開 - 電撃オンライン アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』が2019年10月2日(水)より再放送決定 - ラノベニュースオンライン 「涼宮ハルヒの憂鬱」SOS団、12年ぶり集結!/「進撃の巨人」声優陣が“ザ・リアル”体験:6月24日記事まとめ - アニメ!アニメ!Anime Anime 「涼宮ハルヒの憂鬱」SOS団、ランティス祭りで12年ぶりに全員集結! 平野綾「信じてきたものは間違っていなかった」 - アニメ!アニメ! 【筒井康隆×ハルヒ】優れたユーモアSFであり、純文学でもある『涼宮ハルヒの憂鬱』 - カドブン 『涼宮ハルヒの憂鬱』- 平成18年に刻まれた「現代」のメルクマール - 望遠鏡と虫眼鏡 平成アニメの30年(8) - マイナビニュース 【平成18年】のアニメといえば? 「涼宮ハルヒの憂鬱」「銀魂」ほか、放送作品をご紹介 - アニメ!アニメ!Anime Anime 『涼宮ハルヒの憂鬱』スニーカー文庫30周年感謝祭ステージレポート|平野綾さん、茅原実里さん、後藤邑子さんらが今でも印象に残っている名場面とは!? - アニメイトタイムズ 「涼宮ハルヒの憂鬱」SOS団が スニーカー文庫30周年 に再集結! ネット騒然「3期ワンチャン!?」 - アニメ!アニメ! 「涼宮ハルヒの憂鬱」長門が過ごした「エンドレスエイト」を疑似体験 合計616時間をニコ生配信 - アニメハック 平成最後の夏が終わらない……! 涼宮ハルヒの憂鬱「エンドレスエイト」“各話88時間”生配信が決定してしまう - - ねとらぼ 涼宮ハルヒの憂鬱「エンドレスエイト」を88時間エンドレス生放送。ニコ生で長門有希をおよそ1/9077体験 - PHILE WEB - PHILE WEB 涼宮ハルヒの憂鬱(第2期) 作品情報 - アニメハック - アニメハック 今度こそ脱落せずに見終えられるか? NHKで放送中の「涼宮ハルヒの憂鬱」が6月23日夜から「エンドレスエイト」突入 - - ねとらぼ 祝アニメ化10周年!『涼宮ハルヒの憂鬱』これから見る人のための見どころ紹介&小ネタ集 | ガジェット通信 GetNews - ガジェット通信 コメント 名前 コメント トップページ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5452.html
2人の絶叫だけが長門の部屋に残り、俺たちは奈落の底に落ちていった 永遠とも思える落下の後、ドスンと落ちた俺は腰を打ちつけていた しかし思ったほど衝撃は少ない やれやれと思って立ち上がろうとしたら、上からハルヒが落ちてきた ぐえっ 「アイタタタ・・・・・・」 おいハルヒ、早く下りてくれ。かなり重いぞお前 「ハァ?女子に向かって重いだって? あんた、全地球人類を敵に回すつもり? それとも何よ、あたしが重いって言うの? 重い女は嫌いって事?」 いやハルヒさん それとこれとは別でしょう ただ上から落ちてきただけですから 「やっぱちょっとダイエットすべきかなー。あたしさー、最近もしかしたらみくるちゃんより重いかも知れないのよね ねえキョン、どう思う? あたしもうちょっと痩せた方がいいの?まあ・・・あんたがそう言うんなら、頑張ってみないこともないけどさ」 ハルヒ頼む 悩み事はとりあえず俺の上から下りてからにしてくれ。じゃないとお前のいい匂いで卒倒しそうだ 「ふふーん、キョン あんたもだいぶ正直に物が言えるようになってきたわね 団長として嬉しいわよ。やっとあんたが真人間になりつつあると思うとね」 ああ もう好きに言ってくれ。こうやってるのも悪くない気分だけど今はそんな場合じゃないだろ 「分かってるわよもう」 ハルヒは俺の上から飛び降りて制服のスカートを直した 「ねえ。見てキョン!あれ!」 ハルヒが指さす方向には何人かの男女が見えた もちろんすぐに正体は分かる。SOS団と佐々木の1派が争っているのだ 「行くわよキョン!急いで!」 ハルヒは猛ダッシュで駆け出し、俺は慌てて後を追いかけた。30秒ほど走ってかなり近づいた 「有希!今助けるからね!」 そう叫んで走り寄ったハルヒの体は、ゴーンという音を立ててまたもや跳ね返された ハルヒ大丈夫か?吹っ飛んできたハルヒを危うく受け止め、そっと横たえた 「いったぁーっ・・・」 鼻を押さえてうずくまるハルヒを抱きかかえながら俺はあらためて、自分が来た世界を眺めた 空にはまばゆいばかりの星空がきらめき、地面は真っ黒で何も起伏がない 明らかに地球人の常識からはかけ離れた場所だ ここから15メートルほど離れた場所で戦う者たちの姿が見えた 激しく動き回っている赤い光はあれは古泉か。この世界じゃあいつの能力も使えるらしいな 少し離れた場所で右往左往している朝比奈さんは、なぜか時々点滅していた 数秒間消えたかと思うとまた現れる そして横たわっているのは長門だ。まだ意識が戻ってないのか ピクリとも動かないその長門の足元に立ちはだかり、周防九曜と思われる長い黒髪の女子と激しい攻防を繰り返しているのは・・・ 俺の背中にまた鳥肌が立った 振り下ろされるナイフの鈍い光沢、そして脇腹に突き刺さった冷たい金属の感触が、俺の全身から冷や汗を絞り出させた あ、あ、朝倉涼子がどうしてここにいる?しかも長門を守るようにして そうか、あいつは長門のバックアップだったっけ 長門がピンチなのを見て駆けつけたのか? 周防九曜は両手の指先から次々と光線のようなものを出し、朝倉を貫こうとする 朝倉涼子はまるでそれを割り箸でも掴んでるかのように手づかみにして、さらにはボキッと折っていた 両者の攻防は互角に見えたが、なかなか朝倉は攻勢に転じられないようだった 朝比奈さんから少し離れた所には、いた!あいつがいる 顔を見ただけで殴りつけてやりたいぐらいにムカつく野郎が あの藤原が朝比奈さんに手のひらを向け、朝比奈さんの動きに合わせて小さく振っている そのたびに朝比奈さんはあちこちに逃げ回り、時折りピカッと光って姿を消す 未来人同士の戦争がどんなものなのか、もちろん俺に知る由はないが、おそらくおれはあれでものすごい戦闘を繰り広げているのだろう 赤い光と化した古泉の周囲には分散した青い光が取り囲んでいる あれは橘京子のものなのだろうか、その1つが時々古泉に向かって突進し、古泉は全身でそれを跳ね返す 青い光は力を失って地面に落下するが、古泉からも光の破片がキラキラとこぼれ落ちており、多少はダメージを負っているのが分かった 予想していた通り、激しい戦闘の真っ最中だったが、俺にとっての気がかりはいまだに目を覚まさない長門と、そして彼らから少し離れた所にいる1人の少女だった ハルヒの言った通り、やはりあの新入生だった クルッと巻き毛の天然パーマなのか、繰り広げられる戦闘に目を輝かせながら手に持っているオーパーツを軽く左右に振り回している 俺はハルヒを地面に横たえて、ぶち当たったバリヤーを調べてみた 長門のマンションを覆っていた柔らかいものとは違って、ガラスのように固い物体だった 手で叩いてみてもガンガンと響くだけで向こう側には届かない どうやらあっち側からはこちらは見えないようだ 大声で古泉の名を呼んでみても何の反応もない 俺は再びハルヒを抱え起こし、揺さぶってみた。おいハルヒしっかりしろ、大丈夫か? 鼻を真っ赤に腫れ上がらせたハルヒがウーンとうなる 「いったぁー、何よ今度はいったい」 またバリヤーみたいだな。しかも今度はえらく固いぞ 「またこじ開けて入ればいいじゃないの」 ハルヒは鼻に手を当てながら立ち上がり、俺がやったようにドンドンとそれを叩いてみた 横たわったままの長門に懸命に声をかけるが当然反応がない 「うーん、ダメねえこれじゃ」 ハルヒは何事かをわめきながらひたすらバリヤーを殴りつけ、地面との隙間に指を突っ込んでこじ開けようとしている 何とかならないかハルヒ?このバリヤーをぶち破る方法は 「それは無理だよキョン」 また後ろから佐々木の声がした。こいつもついてきやがったのか 「どうやらあっちで起こってる事はこっちからはどうしようもないみたいだね」 おい佐々木、もういい加減にしろよ こんな無駄な争いをして何になるんだよ お前はこれで満足なのか? あいつらに戦わせてお前はここで高見の見物かよ 「だってそうしろって言われたんだからしょうがないじゃないか 大将はのこのこ敵前に出ていくことはないって それが仲間の意見ならば、僕は喜んで従うね」 仲間だと?何なんだよその仲間ってのは こんな変な世界で、ハンディがある相手を叩きのめすのがお前らの戦いなのか? それがお前らの仲間なのか? 「ふふっ。キョン 僕にとっては彼女たちはまだあまりよく知らない存在だ 突然目の前に現れて神様になって下さいとか言われていくら僕でもそんな事を真に受けたりはしないさ だけどねキョン、そんな事を言っている連中でも僕を慕ってくれてるんだ それを仲間と呼んでどこがいけないのかい?」 だったらお前も中に入って堂々と戦えよ 俺もハルヒもこの中に入れろ それから長門を目覚めさせてやれ お前らの下らん神様理論なんかはどうでもいい 条件を対等にしろ 何だかんだ言いながら結局お前らのやってることは卑怯以外の何物でもないじゃないか 長門の能力が怖いから眠らせて、ブチ切れたハルヒを恐れて中に入れようともしない それがお前の仲間とやらのしてる事じゃねーか 何が仲間だよアホらしい 俺たちの団長を見てみろよ アホで向こうみずで後先を考えない事ばっかりしてるけど、あいつの仲間を思う気持ちはお前なんかには負けはしない 何が大将は奥でじっとしてろだよ うちのハルヒを見てみろ あいつなら、団員を助けるために核融合炉にでも飛び込む覚悟はあるぞ それが俺たちの団長だよ。SOS団の自慢の団長だよ 「そしてキョンの大好きな彼女だってのか?」 そうだよ 俺はハルヒが大好きだ あんなバカな女だけど、俺たちを思ってくれる気持はこの銀河系の誰にも負けはしない あれが俺の大好きな女だ 俺は1人では何もできないけどな、ハルヒと一緒ならどこにだって行けるぞ 佐々木はちょっと遠い目になった 「変わったな・・・キョン」 当たり前だろ もうお前を自転車に乗せて塾に通ってた頃の俺とは全然違うんだよ 見つけたからな。一生かけて守ってやりたいと思う相手を 「うらやましいよ、キョンが そんな風に自分を変えられた君が」 お前は自分を変えようとは思わなかったのか? 「思わなかったよ だって変える必要がなかったからね このみんなに会えるまではね。チームSOSの仲間に出会うまでは」 チームSOS?何だそれは? 「ははは 君にはまだ言ってなかったかな?恥ずかしいんだけどちょっとインスパイアさせてもらったよ。僕たちのチームだ 『静けさを大いに楽しむための佐々木のチーム』だ」 それならSOSチームなんじゃないのか?順序が逆だぞ 「細かい事はいいんだよ別に 何となく語呂がよかったからさ」 SOSの名を聞きつけたハルヒが佐々木を見つけ、両腕をブンブン振り回しながらやってきた 「ちょっとあんた、いつまでこんな卑怯な事やってんのよ。あたしを中に入れなさい。もちろんキョンもね」 「それはできないわ涼宮さん。 みんなにきつく言われてるから。あなたが入れるのは最後の仕上げだけ」 「いいから早く入れなさい!今すぐに!」 「ご自分でお入りになったら?」 「ええそのつもりよ。キョン!もうそんな女は放っといていいから。体当たりしてでも突入するわよ」 はいはい団長さま 「キョン!本気でそんな事するつもりか?」 当たり前だろ。俺は団長のボディガードだ 団長の行く所ならたとえ地獄にでもお供するぜ ましてや仲間を助けるためなんだ。SOS団に不可能はないんだよ 「キョン!そんな優等生の分からずやに何言っても無駄よ。まあ同級生のよしみもあるんでしょうけどね」 「待って!それはさせられない」 佐々木の体が大きく震え、クリーム色をしたモヤモヤした物体がハルヒの体を包み込んだ 「ちょっと!何よこれ!動けないじゃないの!キョン!助けて!」 俺は急いでハルヒを包んでいる靄の中に飛び込んだ と思ったらハルヒの体を通り抜け、反対側に出ていた もう一度やっても同じだった 俺の指先はハルヒに触れる事もなく、そのまま通過して飛び出してしまう 何だこりゃ?ハルヒ? 「キョン・・・・・・」 待ってろハルヒ、すぐに助け出してやる おい佐々木、もうやめろ。ハルヒに手を出すんじゃねえ 他のヤツラならともかく、お前にこんな事をさせたくない だからハルヒに手を出す事だけはやめてくれ 「じゃあ君が身代わりになるかい?」 ああ それでいいのなら俺は構わない 「キョン!あんたいったい何言ってんのよっ!」 ハルヒ みんなを助けてくれ 長門を助けろ、お前ならできる 長門さえ起こしてしまえばこっちのもんだ 「ちょっとキョン!」 さあ佐々木、さっさとやれ。俺を好きにしていいからハルヒを助けろ 「ふっ 君が代わってくれても意味はないんだよ あくまで団長は涼宮さんだからね」 いいから変われ 俺とハルヒを入れ替えろ 「それはできない。今の時点での危険因子は涼宮さんだからね」 くっそう 引っかからないかさすがに 俺の背後にはクリーム色の靄にからめられたハルヒがもがいている 「キョン!キョン!」 俺は佐々木を睨みつけたままで 何か策はないかと思い巡らしていた バリヤーの向こうでの戦いはいったいどれぐらいの時間に及んでいるのか 古泉も朝比奈さんも、もちろん朝倉涼子も、もうかなりのダメージを受けているはず ほとんど防戦一方の戦いにはたして勝ち目はあるのか 仮に長門が目を覚ましたとしてあの調子で戦いに参加する事はできるのか? 幾つもの疑問が頭を駆け巡る 俺とハルヒはこのまま 仲間が必死で戦ってるのを見殺しにしてしまうのか・・・ 「キョン、キョン」 ハルヒの声も苦しそうだ。俺は佐々木に背中を向け、ハルヒの方に向かった ハルヒどうした?苦しいのか? 「大丈夫よ、動けないだけ だけどキョン、こんな悔しい想いは初めてよ。何もできないで負けちゃうなんて・・・ 有希・・・ごめんね・・・一番つらい時に一緒にいられなくて みくるちゃん・・・あんなに頼りなかったのに、必死で戦ってるのに何もしてあげられなくて 古泉くんも・・・いつもわがまま聞いてくれたのに、最後はこんな形になるなんて ごめんね・・・これじゃ団長失格だよね。偉そうな事ばっかり言ってたのに 結局何もできないだけだなんて」 俺の目の奥で何かがはじけた 何か真っ赤なものがパーンとはじけた 俺はゆっくり向き直り、佐々木に静かに告げた 佐々木・・・ハルヒを出してくれ、今すぐに 「それはできないと言っただろ 君に代わっても何の意味もない事ぐらい分かっているはず」 そうか・・・ 俺は肩を落とし、力なくうなだれた そして次の瞬間、全速力で佐々木に向かって走っていた もう何も考えられない ただ無性に腹が立っていた どうせ何もできないのなら、せめてこいつだけにはひと泡吹かせてやりたい 俺をバカにしたいのならいくらでもすればいい だけどこれだけは絶対に許さん ハルヒをバカにする事だけは許さない 俺たちの団長を、俺の大好きなハルヒをバカにする事だけは許せなかった 「ちょ・・・キョン?」 俺は上体を丸めて佐々木に襲いかかった 何かを叫んでいたような気がするが覚えていない ショルダータックルをぶちかますつもりだったのだが、予定した場所に佐々木はいなかった 空気が漏れるようなシュッという小さな音が聞こえたような気がする 俺は勢い余ってそのまま突進し、バリンという音とともにもんどりうって倒れ込んだ 「キョン!」 気がつくと空気の匂いが違っていた。血なまぐさい臭いが鼻をついた 誰の血の臭いなのかと頭を上げると、目の前には小さな女の子が倒れていた これは?どんなカラクリなのか、俺はバリアーを抜けたようだった そして俺が体当たりしたのはこの子なのか 俺の横に転がっている新入生の手に握られたオーパーツを見て、俺は本能に任せて行動した 素早くその手からオーパーツを奪い取り、バリヤーの外にいるハルヒに向かって走り出した いったい今日はどれぐらい走ってるだろうか。少しは運動能力の向上に役立つだろうか そんな事を考えていると耳元に誰かの声が聞こえた 「・・・・・・とうとう来た・・・私のきれいな・・・その瞳・・・・・・」 横目でちらりと見ると周防九曜が俺の動きを追っていた 長い黒髪がブラリと横に拡がり、次の瞬間、それが一斉に俺を目がけて飛んできた 追いつかれる前にバリヤーの外にたどり着こうと必死で走ったが、恐ろしいスピードで追いかける槍のような黒髪の方がはるかに早かった 「キョン!」 「キョンくん!」 誰かの悲鳴が聞こえたような気がした 俺の耳元にシュルルルといううなりが聞こえ、今にも無数の槍に貫かれるかと覚悟した瞬間、ブシュブシュブシュと何かが突き刺さる音が聞こえた ハルヒ・・・ ハルヒ・・・ 俺は・・・もう・・・・・・ あれ?痛みがない 呆然とする俺に何か柔らかいものが覆いかぶさった 「早く渡して!」 誰かにそう言われてハッと気がついた 聞き覚えのあるこの声は、朝倉涼子! 「あなたならあのバリヤーを貫通できるはず!走って!」 俺は異を唱える事もせず、ハルヒに向かって走った 再びシュルシュルといううなりが後ろから聞こえ、俺は首をすくめた ブシュブシュブシュ 「キョンくん・・・」 朝倉・・・ 俺の体にかぶさるようにして朝倉涼子が倒れ込んできた 暖かい液体が俺のシャツを濡らす。これは・・・血? 「キョンくん・・・あの時は本当にごめんね。 自分が間違っていたことがやっと分かった 長門さんの気持ちもね」 朝倉! 「せっかく戻って来られて、キョンくんにちゃんと謝ろうって思ってたのに。またこうなっちゃった しょせん私はやっぱり、ただのバックアップにすぎないって事かしら? さようなら、キョンくん。できたら私の事は、あまり悪い思い出にしないでほしいな」 朝倉! 体中を周防九曜の長い槍で貫かれた朝倉涼子は やがていつかのようにサラサラと砂になって崩れ落ちていった 俺はオーパーツをまだ持っている事を確かめた バリヤーの側にいるハルヒからはあと少しの距離だ 俺は残りの距離を猛ダッシュに賭けた。バリヤーの向こうにいるハルヒに手渡す これが突き破れなかったら、その時は俺も終わりだ 周防九曜の槍に貫かれて、朝倉のようにサラサラと消滅する事もできず、血にまみれた無残な死体を晒すのか オーパーツを持った右手をバリヤーの向こうにいるハルヒに必死で突きつけた ハルヒ、これを持ってこっちに入って来い! 不思議な事に、オーパーツは苦もなくバリヤーを突き抜けた 佐々木が作ったクリーム色の靄すらも通り抜けて、ハルヒはしっかりとそれを握りしめた また背後からシュルシュルと唸りが聞こえてきた。身を隠せるものは何もない。助けてくれる朝倉ももういない 俺は目を閉じた そして・・・・・・ 何も起こらなかった 体中を串刺しにされる感覚も、焼けるような激痛もなかった そして俺の後ろに誰かが立っている感覚を感じた こわごわ目を上げてみると、そこには見慣れた制服姿の小柄な女子が立っていた 周防九曜が放った長い黒髪の槍を片手で鷲づかみにしていた 「ああ・・・・・・あなたは・・・ここにいてはいけない存在・・・・・・不快な・・・とても不愉快なもの・・・・・・」 周防九曜は次々と槍を繰り出し、その女子はそれを片手で受け止め続けた 見上げる俺の全身に安堵感が広がる あまりの安堵に体中がガタガタと震え出すほどだった 長門・・・・・・ ついに復活したのか長門・・・ 長門は氷のような無表情を崩さないまま あの懐かしい淡々とした口調で 「・・・・・・お待たせ」 そうつぶやいて、九曜の攻撃を跳ね返し続けていた 「・・・・・・離れないで」 長門は右手で攻撃を受けとめながら左手をバリヤーの外に伸ばした 長門の左腕が5メートルぐらいに伸び、ハルヒの腕を掴んだ バリバリバリと激しい音を立てながら、バリヤーごとハルヒを中に引きずり込んだ 俺は転がり込んでくるハルヒをしっかり受け止めた これでついに役者が全員揃った。SOS団の勢ぞろいだ どんな仕組みになってるのかなんて俺には分からない だけど今、団長以下5人のSOS団メンバーがついに終結したのだ 形勢が一気に逆転した 長門はめまぐるしい動きで周防九曜の攻撃を防ぎながら詠唱し、古泉に群がっていた赤い光を叩き落とす さらには朝比奈さんと藤原との間に白い光の壁を作った 古泉は力を回復して再び橘京子に襲いかかり、朝比奈さんは変な悲鳴を上げながら 「わ、わた、わたたたたたーっ!」 と叫んで藤原と一緒に姿を消した ハルヒがバリヤーの中に入ったのを見た佐々木も中に入ってきて、クリーム色の靄を俺たちに向かって放ってきたが、オーパーツを握りしめたハルヒが無造作にそれを踏みつぶした 俺はしっかりとハルヒの手を握りしめていたが、ハルヒはその手をそっと放した 俺たちの前でガードしていた長門の前に出た すかさず周防九曜が槍を放つが、それらは全てハルヒの手前で力なく失速して落ちた ハルヒの全身から不思議な光が発光している 古泉が最も恐れていた事態がついに訪れたのか 自分の力を自覚したハルヒが、怒りのあまりにとんでもない大暴走を引き起こそうとしているのか? おいハルヒ 危険だぞ長門の後ろに戻れ 「・・・・・・やめなさい」 ん?ハルヒ? 「もうやめなさいって言ってるのよ」 初めて聞くハルヒの低い声だ 腹の底から響くようなハルヒの重低音だった 俺はこの時初めて気がついた 本気で怒った時のハルヒは口数が少なくなるのだと 「有希、もういいわ。無事で何より」 長門も攻撃を収めた 「古泉くん、元の姿に戻りなさい。みくるちゃんも、もう帰ってきなさい」 古泉は赤い光球から人間の姿に戻り 「ふぇぇぇぇぇーっ。 7億年前まで遡っちゃいましたぁ」 と言う朝比奈さんは気絶した藤原の手を掴んで戻ってきた 佐々木率いるチームSOS(この名前は使いたくないな)も攻撃の手を休め じっとハルヒを見つめている オーパーツを奪われた新入生はキョトンとしていたが ニッコリ笑って立ち上がった ハルヒはゆっくり歩いて古泉の前に立った さすがの古泉も疲れた表情で肩で息をしていたが、近づいてきたハルヒを見てわずかに頬を緩めた しかし次の瞬間、俺の心臓も凍りついた パンと乾いた音がして、ハルヒが古泉の頬を叩いていた 「副団長がこんなつまらない争いごとに巻き込まれてどうするのよ! 私の指図もなしに独断専行は許さないわよ!」 古泉は呆然としていたが、ハルヒの目に浮かんでいた大粒の涙を見て顔をこわばらせた 「申し訳ありません、団長」 ハルヒはそのまま朝比奈さんの元に向かい、やはり頬を叩いた 「みくるちゃんはあたしのかわいいマスコットなんだから、こんな危険なことしちゃダメじゃないの!」 朝比奈さんは目をくるくるさせていたが、ハルヒに抱きしめられて大声で泣き出した 「みくるちゃん、ごめんね、無理させて。あたしが早く来れなかったばっかりにこんなひどい目にあわせちゃって」 「すっすっすっ涼宮さーん」 しばらく抱き合っていた2人だったが、やがてハルヒが体を離した 再び俺と長門の前に戻ってきて、やはり長門の頬もパンと叩いた 長門なら軽く避ける事もできたのだろうが、黙ってハルヒの平手打ちを受けた 「有希、有希、あんたはね、何でも1人で抱え込んでるんじゃないの つらかったら、1人でいるのがつらい時は電話しなさいっていつも言ってたでしょ? あたしたち仲間なんだから、どうして今まで何の相談もしてくれなかったのよ!」 抱きしめられてもまだ無表情の長門だったが、大きく見開かれたその両目から、大粒の涙がぽろりとこぼれた 「・・・・・・申し訳ない」 そしてハルヒは俺の前に戻り、俺をグーで殴りつけた おいハルヒ、何で俺だけグーパンチなんだよ 「うるさいバカキョン!あんたは全部知ってたんでしょっ! 知ってるくせに何で私に何も言わなかったのよ! あんたの責任が一番重いんだからね! 一番下っ端のくせに!一番あたしと一緒にいたくせに! あんたがもっと早く話してくれたらこんな事にはならなかったのに! 有希も古泉くんもみくるちゃんも、こんな目に会わずに済んだかもしれないのに!」 いやハルヒ これにはいろいろと事情があってだな 「黙りなさいっ!!!」 ハルヒは再び俺をグーで殴った そしてハルヒはくるっと体を反転させて佐々木に指を突きつけた 「神さまになりたいのなら好きにすればいいわ 世界を作り変えたいのならいつでもどうぞ ただし、1つだけ言っておくわ あたしの大事なSOS団員に指一本でも触れたら、今度はただじゃおかないからね! あんたがどこの世界のどんな神さまだろうと、あたしが必ず探し出してこの世から消し去ってやる!」 佐々木はしばらく呆然とハルヒを見ていたが やがてクスクス笑いだした 「さすがは涼宮さんね やっぱり私はかなわないわ ちょっとだけだけど神さまなんて言われていい気になってたのかもしれないわね ごめんね涼宮さん あなたの大事な仲間をこんな所にまで連れて来てしまってごめんなさい でも1つだけ分かってほしいの あの子は全然悪くないから あの子のために、この世界を作り直すエネルギーを分けてほしいって頼まれて それで周防さんにも協力してもらって今回の作戦になったの 責任は全て私にあります。憎むなら私を憎んで下さい だけどこの子は別だから。一人ぼっちでここで生きていくのがかわいそうだと思ったから だからこの子だけは許してあげて」 ハルヒは無邪気に笑う新入生をじっと見た 「あなた、名前は?」 「名前はまだありません」 「もう北高はやめちゃうの?」 「えっと、まだ決めてません」 「そう、じゃあいいわ。でもこれはもうしばらく預かっとくから、後で学校に取りに来なさい」 「はい!」 ハルヒはそれ以上何も言わずに戻ってきた 呆然とする古泉と、泣きじゃくる朝比奈さん、そして無表情のままで涙をこぼす長門を俺の前まで引っ張ってきた 「さあキョン、帰るわよ」 ああ これだけ暴れりゃ充分だろ 暴れ足りないのはハルヒだけじゃないのか? 「・・・キョン」 え? 「マジで殺されたいの?」 ・・・・・・ 「帰るわよ」 俺たちは輪になって手をつないだ 「みんな、目を閉じて元の世界を念じるのよ 有希のマンションのあの部屋をね」 「・・・・・・それでは不足・・・・・・終わらせない・・・・・・」 後ろから小さな声が響き、長い髪の毛を狼のように空気で膨らませた周防九曜が襲いかかってきた ハルヒの持っているオーパーツを目がけてギラギラした光の束が襲いかかる すぐに反応したのは長門だった 高速呪文を唱える余裕はなく、長門は瞬間移動でハルヒの前に立った 「有希!」 長門は小さな体を太い光に貫かれ、その目を大きく見開いている 「有希!」 「長門さん!」 長門! 「・・・・・・いい・・・・・・肉体の損傷は無視できるレベル」 周防九曜はその長い髪が大きく膨れ上がり 小柄な体を5倍ほどの大きさに見せていた 「・・・・・・ここで終わる事はできない・・・・・・あなたは美しくない・・・・・・」 長門が素早く詠唱し、俺たちを包むように、白い光の壁が発生した 「早く戻った方がいい」 「・・・・・・あなたは美しくない・・・・・・この場所にはふさわしくない」 周防九曜の体もオレンジ色の光に包まれ、ゆっくりと空中に浮かびあがった すかさず長門が追従し、同じように空中に浮かんだ 「有希!もうやめなさい!もういいのよ!」 「このインターフェイスを残しておくのは危険。私が始末する」 おい長門、もうやめよう。こんなの放っといてみんなで帰ろうぜ 「それはできない。このインターフェイスは暴走を始めている」 暴走? 「そう」 「・・・・・・私は今日、習いました。言葉の意味を・・・・・・これはお花です。とても美しい・・・・・・あなたが好きです・・・・・・お前は死ね」 長門、こんなの相手にして大丈夫なのか? 「勝算はある。早く退避を」 おい佐々木、ここは危険だ。お前も全員連れて帰れ ハルヒ、俺たちも帰ろう 「でも有希が・・・」 長門が勝算があるって言うんだから信じようぜ 「有希・・・」 「・・・・・・私は、歩きます。遠くのお空に。明日は、お肉を、食べました」 見守っているうちに周防九曜の様子が明らかにおかしくなっていた 第1形態が指からの光線の矢、第2形態は髪の毛の槍 とするとこれが第3形態なのか、オレンジ色の球体に包まれたその体から次々と光の束が長門に向かってほとばしった 長門は素早く詠唱しながらその光を直前で跳ね返し、返す刀でオレンジ色の光に切り込んでいった 「キョン、私たちはこれで戻る事にするよ」 ああ佐々木、ここは危険だ 「君たちも無事帰ってきてくれよ」 もちろんだとも。気をつけてな 佐々木と橘京子、そして藤原の姿が消えた おいハルヒ、俺たちも帰ろう 「でも・・・有希が・・・」 帰ろうとしないハルヒの気持ちは俺にもよく分かる ようやくハルヒにも今までの俺たちの行動が読めてきたのだろう 自分の知らない場所で行われてきた壮絶な出来事に目を丸くし、また長門を1人残しておけないという気持ちは俺たちももちろん一緒だ 上空で繰り広げられるすさまじい戦闘に、俺たちは目を奪われていた 周防九曜は次々と攻撃を繰り出し、長門はそれを防ぎながら何やら光を出して攻撃もしていた 下から見ている俺たちには戦況はさっぱり理解できない やがて飛び道具では埒が明かないと見たのか周防九曜は距離を詰め、再び黒髪の長い槍を四方八方から突き立ててきた 何本かずつまとめて払い落していた長門だったが、そのうち数本が無残に体を貫いた 「有希!」 「私は大丈夫。それより早く帰還すべき」 「あんたを置いて帰れるわけないでしょう!」 「置いて行っていい。必ず戻る」 「本当?」 「本当」 「絶対に帰って来なさいよ!有希!」 「約束する」 まだ名残惜しそうなハルヒをせきたて、俺たちは再び手をつないだ するとまだあの新入生が残っているのに気がついた。おい、お前はこっちに来なくていいのか? 「ここが私の世界ですから」 こっちは今から危険な状態になるかもしれないんだぞ 「構いません。その時はそちらの世界に行きます」 絶対生きろよ、こっちでもあっちでもいいから 「はい!ありがとうございます先輩」 「さあみんな祈って!向こうに帰れますように。・・・・・・有希が無事に帰って来れますように」 足元が激しく揺れ、時間移動とも次元震ともまた違う感覚の後で、俺たちは再び固い地面に立った 「ほわーっ」 朝比奈さんの溜息とともに、ようやく地球に帰ってきた事を実感した 出発点と同じ、長門のマンションだった。そこにはまだ佐々木たちがいた 「無事帰ってきたね」 ああ 「どんな様子だったの?」 まだ長門と周防が戦ってるよ どうやら異常動作を起こしたらしい 「本当に申し訳ない。我々の仲間なのに何もできなくて」 まあしょうがないだろ。何しろまともに会話もできないヤツだったからな 「古泉くん」 「はい?」 「みんなを連れて帰って」 「えっ?」 「みんなを家まで送ってあげて」 「しかし長門さんがまだ・・・」 「いいから!」 「はい、では後はよろしくお願いします」 古泉はまだ泣きじゃくっている朝比奈さんを抱き起こし、佐々木たちも連れてマンションを出ようとした 「ふん、結局規定事項の確認のみか、骨折り損とはまさにこの事だな」 藤原がつぶやいて立ち上がった 「俺はここで失礼するぜ。どうやらこれ以上の展開はなさそうだしな。ところであんた」 こいつは俺の朝比奈さんをあんた扱いするのか?許さん 朝比奈さんがビクッと体を震わせた 「は、はいっ?」 「つまらない任務だったけど、あんたと戦えてよかったよ」 「ふぇっ?」 「まさか7億年前に連れていかれるとは思わなかった」 「あっ、あっ、あれはその涼宮さんの・・・」 「途中で時間の流れについていけなくなった。気絶するとは時間移動員失格だな おかげさまですごいものを見せてもらった。さすがは歴史にその名を残している人物だけの事はある これは禁則だけどな」 「えっ?えっ?」 「あんたに出会えてよかったよ、朝比奈みくるさん。今度会う時は・・・その・・・禁則だ」 「へ?」 「ありがとう、大先輩」 藤原は意味不明な禁則事項を連発しながら朝比奈さんと握手を交わし、佐々木に軽く頭を下げ、俺たちを一瞥してその場から消えた 「何なのよあいつはいったい」 「わわわわたし・・・・・・」 どうやら藤原ってのは朝比奈さんよりもまだ未来の人間なのか しかしちょっと聞こえたけど、朝比奈さんが歴史に名前を残すとか 「じゃあ、あとで必ず連絡を下さい。何時になっても待ってますから」 古泉はそう言って残りの全員をまとめ、マンションを出ていった 俺は別に帰れとも言われなかったのでそのまま残っていたが、誰もいなくなるとハルヒが口を開いた 「さあキョン、もう一度行くわよ!有希を助けに」 へっ そう言うと思ってたよ団長さま どこまででもついていってやるぜハルヒ 地獄の底まででもな 俺とハルヒは手をつないで、再び長門の部屋の額の前に立った 「行くわよキョン」 ああもちろんだとも 呼吸を合わせ、まさに飛び込もうとする寸前に 「・・・・・・行かなくていい」 背後から小さな声がかかった 「有希!」 長門!帰って来れたのか? 「帰ってきた」 長門は布団をすっぽり首までかぶっていた 黒い瞳は大きく見開かれたままだ 「有希!よかった!帰ってきてくれて」 「帰って来ると約束した」 長門・・・ 無事だったか 周防はどうなったんだ? 「・・・・・・周防九曜は消滅した。暴走を止めることはできなかった」 あの新入生は? 「まだあそこにいる。でもまたこの世界に来たいと言っていた」 「本当に?有希?」 「そう。そのオーパーツを取り戻しに来る」 「これ?」 「そう。それは彼女にとってとても大事なもの」 「ふうん・・・・・・」 なあ長門 「何?」 ちょっと布団めくってもいいか? 「ちょっとキョン!こんな時に何エロ目線になってんのよっ!」 違うぞハルヒ ちょっと心配だったから 長門が傷ついてるんじゃないかと思ってな 「・・・・・・見ない方がいい」 ん? どうしてだ長門? 「通常の神経構造を持っている人間にはこの状態はかなりショックを受けるはず。だから見ない方がいい」 「有希!あなた怪我したの?どうなの?」 「肉体の損傷はすぐに再生できる。でも少し時間がかかる」 「有希・・・・・・」 ハルヒは構わずに布団をめくり上げようとする 俺は・・・すまん長門・・・ ちょっと耐えられそうになくて、思わず目を背けてしまう 「万が一にもこれを映像化しようなどという野望があるならここは自粛すべき」 長門は内側から布団を押さえ、ハルヒに抵抗していた 「医療技術者でもこの状態は正視に耐えないレベル・・・見ないで」 「有希、本当に大丈夫なの?」 「大丈夫」 おいハルヒ、長門が嫌がってるんだ、もうやめておけ 「分かったわよ・・・」 「頼みがある」 「何?有希」 「・・・・・・もう帰ってほしい」 「ん?」 「・・・・・・肉体の回復がうまく進行しない。エラーが発生している」 何か問題があるのか長門? 「情報処理にエラーが頻発している・・・・・・原因は・・・・・・禁則」 長門? それまでまっすぐ上を見つめたままの長門が首だけを横に曲げた その寸前に、大粒の涙が頬を流れ落ちるのが見えた 「・・・・・・お願い・・・・・・帰って・・・」 長門・・・・・・ ごめんな お前の気持ちに・・・・・・俺は応えてやれなかった それが・・・お前の禁則なのか? 俺の目の奥が、なぜかじんわりと熱くなってきた 長門の禁則の理由が何となく理解できる すまん長門 それでもまだ長門の布団を引っぺがそうとしているハルヒを引きずるようにして、俺は長門の寝室を出た 「有希!来週には絶対学校に来るのよ!」 「・・・・・・それは約束できる」 「じゃあね!絶対よ!」 長門 「・・・・・・・」 また部室でな 「・・・・・・・ありがとう」 俺とハルヒは長門の部屋を後にし、黙ったままでエレベーターに乗った マンションの玄関を出ると、そこには佐々木が待っていた 「ごめんなさいね涼宮さん。いろいろ迷惑かけて」 「もういいってば」 「長門さんは帰ってきたの?」 「今帰って来たわよ」 「周防さんは?」 「・・・・・・戻らなかった」 「ふうん、やっぱりか。結局私は仲間を守れなかった あなたはちゃんと全員を無事に連れて帰ってきたのにね。やっぱり私はリーダー失格か」 「そんな事ないわよ、どうしようもない事もあるし」 ああそうだよ佐々木。周防は暴走していた ああするしか方法はなかったみたいだからな あの長門がそう言ってたんだから 「だけどキョン、僕がもっとうまくやれば、その暴走を食い止められたかもしれない」 それは結果論だろ 周防は帰って来れなかったけど、後は全員無事だったんだから もうそれでいいんじゃないか? あの新入生もまた帰って来るよ。オーパーツを受け取るためにな 「そうか・・・・・・君がそう言ってくれるのなら・・・納得するよ。ねえ涼宮さん?」 「ん?」 「周防さんはいなくなっちゃったし、藤原さんは元の世界に戻った だけど私と橘さんはまだこの街にいるわ もしかしたら、また私たちが出会う事もあるかもしれないんだけど、その時は・・・・・・」 「その時は?」 「友達として会ってくれるかな?」 ハルヒはまだ怒りを含んだ目で佐々木を見ていたが、しばらくしてその目が柔らかく光った 「もっちろんよっ!一緒に冒険した仲間なんだから! これからもまた、不思議探しの旅に出るのよ!」 おいハルヒ これだけものすごい体験をしておいてまだ足りないのかよ それに北口周辺なんかに不思議が落ちてるはずないって これだけやってもまだ学習してくれないのかお前という女は 「当たり前じゃないのバカキョン これからは不思議を発見するだけじゃなくて作りだすのよ 誰かが言ってたでしょう! 『待ってるだけでは冒険は訪れてくれない』ってね!」 ほう その誰かってのはもしかしたら頭に黄色いリボン巻いて 仲間を危険にさらすのが得意な北高の女子の事じゃないでしょうね? 「それは今までの話よ!これからはね、あたしがあんたたちを守ってあげるんだから!」 やれやれ このバカの脳下垂体を解剖して、一度長門に学術調査でもしてもらいたいもんだ 「佐々木さん!あんたたちもこれからは準団員として認定してあげるから、たまには不思議探索に加わる許可を与えるわ」 「本当に?ありがとう」 「その時は新人として十分にこき使ってあげるから覚悟しときなさいねっ!」 「はい!団長!」 何だこの2人はいったい 完全に意気投合してるじゃないか 史上最悪の神様のツートップだ 1958年ワールドカップのブラジル代表チームでも勝ち目はないだろう ハルヒと佐々木はしばらく盛り上がっていたが 「じゃあ帰るね涼宮さん」 「うん、またね」 「じゃあねキョン、涼宮さんをお願い」 これ以上何をお願いするんだよお前は?もう勘弁してくれ マンションの前で佐々木と別れ、俺はハルヒと手をつないだ 7階の窓から誰かが見下ろしている気配も感じたのだが、残念ながら俺にはどうする事もできない 銀河系中の長門マニアに殺意を持たれてしまったのか それとも喜んでもらえたのか やれやれだよ全く [[リンク名 涼宮ハルヒの共学 4]] その4に続く
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3554.html
前回、二学期の終了直前に起こった「消失」事件は、宇宙人長門が原因によるもので幕を閉じた。それから1年半は経ったのだが、どうやら処分は軽いもので終わったらしい。その真冬で無駄で、面白くもなんともない3日間を過ごし、挙句の果てに朝倉にまた殺されかけたりと色々厄介な事ばっかりだった。全く違う高校の制服を着たハルヒと古泉。面識のない朝比奈さんと鶴屋さん、さらには感情がある長門。俺には合わない世界だった。またそれではっきりしたのだ。ハルヒといる世界は楽しい、おもしろいと。まあこれは閉鎖空間のときと同じ感覚だな。 で、それはもう終わった事だと思っていたのだが、明日7月5日よりまたその悪夢が始まるとは夢にも思わなかった。 涼宮ハルヒの消失2 7月4日、放課後のSOS団室(文芸部室)。またハルヒに関連のあるあの日がやってこようとしていた。もちろん奴は騒ぎ出す。 「そろそろ七夕ね……」 「お前、確か去年は私有地の竹切ってきただろ」 「そうよ、だから何?」 「いや、今年はやるなよと言いたいだけだ」 「まだそんなこと言ってるの? 一本や二本くらい大丈夫だって」 というか、まだ去年の笹が残っているのだがな。枯れてしまっているが。 「では僕が用意しましょう」 古泉! 「さすが古泉君、キョンみたいに無能じゃないわ!」 悪かったな、無能で。俺は朝比奈さんの煎れたお茶を啜る。真夏の茶は熱い! いつもどおり長門は座って読書をし、ハルヒはネットしながら模索。朝比奈さんは何か編んでるし、俺と古泉はボードゲーム。 去年みたいに、朝比奈さんとタイムスリップしたりすることはなさそうだ。いや、無くて当然だ。ジョン=スミスは2回そこにいた。1回目は去年朝比奈さんとそこに行き、当時中1のハルヒと運動場に落書きしたこと。2回目は長門による世界の変革で、俺がそこに朝比奈さん(大)とタイムスリップし、ハルヒに「世界を大いに盛り上げるためのジョン=スミスをよろしく!」と言った事だ。 3回目の俺に思い当たる節は無い。おそらくハルヒもだろう。だったら俺は4年前に行く事にはならないはずだ。 「次はあなたの番ですよ」 「ああ」 俺は白を置き、黒を5枚白した。 7月5日、俺の恐れていた事が始まった。朝目覚めて気づいたのは、俺の身長が少し低くなっている事だ。Why? さらに衝撃を受けたのは、妹が幼すぎる事。母も父も若干若返ったように見える。俺は訳が判らず、朝刊の日付を見た。 「7月5日……!」 時代が4年遡っている事に気づいた。しかも肉体的若返りを遂げて。他の人間はすべてその当時の記憶ではあるが、俺の記憶だけは4年後の記憶だった。 つまり、精神年齢17才が、突如肉体年齢が13才になったということだ。慌ててクローゼットを見ても無駄、そこには北高の制服は無く、ただ中学校の制服が置かれていた。当然夏なのでカッターシャツを着るしかない。 「どうなってんだ……」 続く
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/14.html
ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その1 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その5 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その8 家族旅行で見る夢は (スピンオフ)
https://w.atwiki.jp/amezo11337205107/pages/40.html
ハルヒ(はるひ) SOS団ではない方の人。 久しぶり♥ 2017年08月15日(火)17時33分17秒(小学生) ハルヒです 2017年08月15日(火)17時28分33秒(広場) コメント一覧 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/73.html
涼宮ハルヒの憂鬱Ⅵ(2006年放送版第14話、構成第06話・DVD版第07話/2009年放送版・時系列第06話) スタッフ 脚本:志茂文彦 絵コンテ:石原立也 演出:石原立也 演出補佐:坂本一也 作画監督:池田晶子 原作収録巻 第1巻:『涼宮ハルヒの憂鬱』より第7章(P250)とエピローグ最後(P300)まで。計50ページ分をアニメ化。 DVD収録巻 『「涼宮ハルヒの憂鬱」第3巻』に収録。 紹介 2006年放送順最終回でクライマックス。時系列順でも憂鬱編最終回でクライマックスだが、アニメだけでも8話の短編が残っており通過点にすぎない。 時系列では次のエピソードは『涼宮ハルヒの退屈』となる。 OPカット、EDは本編とともに冒険でしょでしょ?が流れる。 2006年放送順の提供バックのねこマンは『レンジャーねこマン』。(DVD第06巻に収録) 次回予告 TV版: (放送順で最終回なので次回予告はなし) DVD版: 有希:次回、『涼宮ハルヒの退屈』。打って。 放送版とDVD版との違い Aパート最初、ハルヒの腕がないのを修正。 ED入る直前のタイトルロゴにDVDでは著作権クレジットが追加。 最終カットで2006年放送版ではズームアウトするが、DVD版ではそのままの大きさのまま終わる。 パロディ・小ネタ キャスト・スタッフ(詳細) キャスト 1段目 キョン:杉田智和 涼宮ハルヒ:平野綾 長門有希:茅原実里 朝比奈みくる:後藤邑子 古泉一樹:小野大輔 2段目 谷口:白石稔 キョンの妹:あおきさやか スタッフ 脚本:志茂文彦 絵コンテ:石原立也 演出:石原立也 演出補佐:坂本一也 作画監督:池田晶子 動画検査:中野恵美 美術設定:田村せいき 美術監督補佐:平床美幸 色指定検査:竹田明代 制作マネージャー:栗須貫大 原画 渡邊政治 植野千世子 堀口悠紀子 秋竹斉一 福島正人 唐田洋 大更麗子 岡野文恵 内藤直 動画 中峰ちとせ 黒田久美 栗田智代 大川由美 仕上げ 佐々木祥子 宿谷葉子 田口真由美 小浦千代美 一ノ瀬益美 背景 細川直生 篠原睦雄 袈裟丸絵美 加藤夏美 川内淑子 松浦真治 伊藤豊 撮影 中上竜太 田中淑子 高尾一也 山本倫 石井和沙 浜田奈津美 梅津哲郎 (ポストプロダクションなどは省略) 放送日程 2006年(野球中継などは考慮せず) チバテレビ:2006年7月2日24時00分-24時30分 テレ玉:2006年7月2日25時30分-26時00分 tvk:2006年7月3日25時15分-25時45分 KBS京都:2006年7月3日25時30分-26時00分 テレビ北海道:2006年7月3日26時00分-26時30分 サンテレビ:2006年7月4日24時00分-24時30分 TBC東北放送:2006年7月4日26時00分-26時30分 東京MXテレビ:2006年7月5日25時30分-26時00分 テレビ愛知:2006年7月5日26時28分-26時58分 広島ホームテレビ:2006年7月8日26時05分-26時35分 TVQ九州放送:2006年7月8日26時40分-27時10分 2009年 サンテレビ:2009年5月7日24時40分-25時10分 テレ玉:2009年5月7日25時00分-25時30分 新潟テレビ21:2009年5月7日25時45分-26時15分 東京MXテレビ:2009年5月8日26時30分-27時00分 tvk:2009年5月8日27時15分-27時45分 TVQ九州放送:2009年5月9日26時40分-27時10分 テレビ和歌山:2009年5月10日25時10分-25時40分 テレビ北海道:2009年5月11日25時30分-26時00分 KBS京都:2009年5月12日25時00分-25時30分 広島テレビ放送:2009年5月12日25時29分-25時59分 チバテレビ:2009年5月12日26時00分-26時30分 奈良テレビ:2009年5月12日26時00分-26時30分 仙台放送:2009年5月12日26時08分-26時38分 メ~テレ:2009年5月12日27時55分-28時25分 Youtube:2009年5月13日22時00分-2009年5月20日21時59分(1週間限定配信) RKK熊本放送:2009年11月22日26時15分-26時45分 DVDチャプター アバン(0:00~3:35) Aパート開始(3:36~4:18)※題名無し平凡な日常(5:19~7:09) 灰色の世界(7:10~9:50) 2人、文芸部部室にて・・・(9:51~11:48) Bパート開始(11:49~13:03)※題名無し長門からの伝言(13:04~14:42) 神人現る!(14:43~16:53) 破壊されゆく校舎、文芸部(16:54~18:34) sleeping beauty(18:35~20:14) ED(20:15~22:45) いつもの待ち合わせ場所にて(22:46~23:40) 使用サントラ 0 00~0 15 SE 0 16~1 24『いつもの風景』サントラ02収録 1 25~1 38 SE 1 39~3 04『うんざりだ』サントラ03収録 3 05~3 43 SE 3 44~4 30『何かがおかしい』サントラ02収録 4 31~5 28 SE 5 29~6 27『ある雨の日』サントラ08収録 6 28~7 21 SE 7 22~9 10『閉鎖空間』サントラ04収録 9 11~9 55 SE 9 56~12 57『虚無的空間』サントラ04収録 12 58~14 42 SE 14 43~19 03『グスタフ・マーラー「交響曲第8番」 第1楽章』収録なし 19 04~20 13 SE 20 14~22 04『冒険でしょでしょ?』サントラでは収録なし 22 05~22 18 SE 22 19~23 39『そして、いつもの風景』サントラ04収録 23 40~23 55『冒険でしょでしょ?予告アレンジ』サントラ02収録 一覧 新アニメ 1期時系列 1期放映順 DVD 原作小説(巻) コミック収録巻 アニメサブタイトル #01 第01話 第ニ話 第01巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 I #02 第02話 第三話 第01巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 II #03 第03話 第五話 第02巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 III #04 第04話 第十話 第02巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 IV #05 第05話 第十三話 第03巻 憂鬱(1) 第02巻 涼宮ハルヒの憂鬱 V #06 第06話 第十四話 第03巻 憂鬱(1) 第02巻 涼宮ハルヒの憂鬱 VI #07 第07話 第四話 第04巻 退屈(3) 第03巻 涼宮ハルヒの退屈 #08 - - 新第01巻 退屈(3) 第03巻 笹の葉ラプソディ #09 第08話 第七話 第04巻 退屈(3) 第04巻 ミステリックサイン #10 第09話 第六話 第05巻 退屈(3) 第04巻 孤島症候群(前編) #11 第10話 第八話 第05巻 退屈(3) 第04巻 孤島症候群(後編) #12 - - 新第02巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #13 - - 新第02巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #14 - - 新第03巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #15 - - 新第03巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #16 - - 新第04巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #17 - - 新第04巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #18 - - 新第05巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #19 - - 新第05巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #20 - - 新第06巻 溜息(2) 第05巻 涼宮ハルヒの溜息 I #21 - - 新題06巻 溜息(2) 第05巻 涼宮ハルヒの溜息 II #22 - - 新第07巻 溜息(2) 第05-06巻 涼宮ハルヒの溜息 III #23 - - 新第07巻 溜息(2) 第06巻 涼宮ハルヒの溜息 IV #24 - - 新第08巻 溜息(2) 第06巻 涼宮ハルヒの溜息 V #25 第11話 第一話 第00巻 動揺(6) 未制作 朝比奈ミクルの冒険 Episode00 #26 第12話 第十二話 第06巻 動揺(6) 第06巻 ライブアライブ #27 第13話 第十一話 第06巻 暴走(5) 第07巻 射手座の日 #28 第14話 第九話 第07巻 オリジナル 未制作 サムデイ イン ザ レイン
https://w.atwiki.jp/haruhipsp/pages/18.html
夜のマップ画面で谷口を選択。 ↓ ハルヒとの会話が出る。 ↓ エンブレムを出し終了 キー会話は、映画のことから、もう追加撮影の必要はないよな?を選択し、気分が一定以上なら、映画のことに、本当に本当に追加撮影の必要はないな?が出るので、それで終了。 ループを繰り返し、一定時間経過するとバッドエンドの妹エンドになってしまう。